御息所(読み)みやすどころ

  • ▽御▽息所
  • みやすんどころ

デジタル大辞泉の解説

《「みやすみどころ」の音変化。天皇の御休息所の意から》
天皇の寝所に侍する宮女。女御(にょうご)更衣(こうい)、その他、広く天皇に寵せられた宮女の称。また一説に、皇子・皇女の母となった女御・更衣の称という。みやすんどころ。「六条の御息所
「上は、―の見ましかば、とおぼし出づるに」〈・桐壺〉
皇太子妃または親王妃の称。
「二条の后、春宮(とうぐう)の―と申しける時に」〈古今・物名・詞書〉
みやすどころ」に同じ。
「在中将、内にさぶらふに、―の御方より」〈大和・一六二〉

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世界大百科事典 第2版の解説

奈良・平安時代における天皇のキサキの通称。〈みやすみどころ〉の変形で〈みやすんどころ〉ともいう。平安時代に入るともっぱら女御更衣の別称として使用された。本来は天皇の御休息所の意味であったと思われるが,転化して,別殿を賜り,そこに起居する人を指すようになったと考えられる。また,東宮や上皇の嫡妻以外のキサキの称として用いられることもあった。《源氏物語》をはじめ,平安時代の文学作品に多くの例をみる。【玉井 力】

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大辞林 第三版の解説

みやすみどころの音便形みやすんどころの撥音の無表記
みやすんどころに同じ。 いかなる女院、-とも見奉るか/太平記 21
みやすみどころの転
天皇の御休息所の意から 天皇の寝所に侍する宮女。女御・更衣もいうが、公称である女御・更衣に対してそれ以下の天皇の寵愛ちようあいを受けた宮女を広くさす。
平安後期以降、皇太子妃および親王妃をいう。 先坊=前皇太子に-まゐりたまふこと/大鏡 時平

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

天皇の寝所に侍する宮女の称。天皇の休息する殿中に伺候する意による呼称。女御(にょうご)や更衣(こうい)を御息所と称した例もあるが、両者が弘仁(こうにん)式や延喜(えんぎ)式などにも規定の存する後宮の成員の公称であるのに対し、御息所は女御以下の宮女をさす汎称(はんしょう)である。平安前期の文献にみえ始め、物語や歌書の類に多くみかけるが、平安後期以降は天皇の後宮をさす例が希有(けう)となり、もっぱら皇太子や親王の妃(ひ)の称となった。[橋本義彦]

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 (「みやすみどころ」の変化した「みやすんどころ」の撥音「ん」の無表記。天皇の御休息所の意から)
① 天皇に侍する宮女の敬称。皇子・皇女を産んだ女御・更衣をいう場合が多いが、皇子・皇女のない場合にも、また、広く天皇に寵せられた宮女にもいう。
※延喜御集(967‐1000頃)「みやすところあまたなりたまひにける中に」
② 皇太子および親王の妃の敬称。
※大鏡(12C前)二「先坊にみやす所まゐりたまふ事、本院のおとどの御女ぐして三四人なり」
〘名〙
※古今(905‐914)春上・八・詞書「二条の后の、とう宮のみやすん所ときこえける時」
※源氏(1001‐14頃)澪標「さい宮も、かはり給にしかばみやすむ所のぼり給て後、かはらぬさまに何事もとぶらひきこえ給事は」

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