刑法上,没収できる物のうち,犯罪行為により生じまたは得た物,犯罪行為の報酬として得た物,またはこれらの対価として得た物の全部または一部を没収することができない場合,その価額に相当する金銭を徴収することをいう(刑法19条の2)。犯人に犯罪による利益を保持させないことを目的とし,没収の換刑処分的意味をもつが,刑そのものではない。もっとも,追徴は,金銭の納付を命ずるものであるから,実質的には罰金と同じ負担となり,事実上没収よりも重い処分となることも少なくない。追徴するか否かは通常は裁判官の裁量によるが,必ず追徴するとされている場合もある(同法197条の5の賄賂など)。また,特別法には,より広く没収・追徴を認めるものもある(漁業法140条など)。なお,以上とは別に,租税等について,納付すべき金額を納付していない場合に,不足金額や懲罰的金銭を徴収すること等を追徴ということもある。
執筆者:平川 宗信
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
刑法上は、犯罪行為により生じもしくはこれにより得たもの、または犯罪行為の報酬として得たものや、その対価として得たものの全部または一部が没収できないときに、没収にかわって、その価額の納付を強制する処分(刑法19条の二)。追徴は、犯罪行為により得た不正の利益を犯人から取り上げることを目的とする。没収、追徴は、裁判官の裁量によるが、賄賂(わいろ)に関してはかならず行う(同法197条の五)。
行政法上は、公租公課を不正に免れた場合、その全部または不足額を徴収することをいう。関税法(脱税・密輸)、酒税法(密造など)には没収・追徴の規定があり、貨物・密造酒などを必要的に没収し、あるいはその価額を追徴することにしている。
[須々木主一]
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