(読み)チョウ

デジタル大辞泉 「徴」の意味・読み・例文・類語

ちょう【徴】[漢字項目]

常用漢字] [音]チョウ(呉)(漢) チ(呉)(漢) [訓]めす しるし
チョウ
召し出す。「徴兵徴募徴用
取り立てる。「徴収徴税徴発課徴追徴
隠された意味の現れたもの。しるし。きざし。「徴候徴証徴表象徴瑞徴ずいちょう性徴特徴明徴
〈チ〉中国日本音楽五声の一。「変徴
[名のり]あき・あきら・きよし・なり・みる・よし

しるし【徴/験】

《「」と同語源》
(徴)何事かの起こる前触れ。きざし。前兆。「異変の起こる―」
(験)
神仏の現す霊験御利益ごりやく。「祈念の―が現れる」
効果。ききめ。効能。「養生の―が見えてきた」
[類語]き目効果成果こう実効効験効能効力効用甲斐かい霊験作用

ちょう【徴】

物事の起こる前ぶれ。きざし。前兆。徴候。「衰微
人を召し出すこと。召し。「に応じる」
金品を取り立てること。供出させること。「を課す」
[類語]効果しるし効験霊験

ち【徴】

中国・日本音楽の階名の一。五声の第4音。きゅうに次いで重要な音。

ち【徴】[漢字項目]

ちょう

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「徴」の意味・読み・例文・類語

ちょう【徴】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 人を召し出すこと。呼び出し。まねき。
    1. [初出の実例]「及是役、長重応徴発」(出典:国史略(1826)五)
  3. 物を取りあげること。供出させること。とりたて。
    1. [初出の実例]「右凡是追徴科造。〈謂。追者。追喚也。徴者。徴納也〉」(出典:令義解(718)公式)
  4. 物事のおこる前ぶれ。きざし。また、証拠。しるし。
    1. [初出の実例]「依之在国之間更無其徴」(出典:古事談(1212‐15頃)二)
    2. 「頭寒足熱は延命息災の徴と傷寒論にも出て居る通り」(出典:吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉八)
    3. [その他の文献]〔春秋左伝‐昭公一七年〕
  5. ち(徴)

ち【徴】

  1. 〘 名詞 〙 中国および日本の音楽の音階の一つ。五音(宮・商・角・徴・羽)の一つ。主音の宮に次いで中心となる音。宮より完全五度上方に当たる。
    1. [初出の実例]「管絃のおこり、そのつたはれる事ひさし。〈略〉宮・商・角・徴・羽の五音あり」(出典:古今著聞集(1254)六)
    2. [その他の文献]〔史記‐楽書〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「徴」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 14画

(旧字)
人名用漢字 15画

[字音] チョウ・チ
[字訓] めす・しるし・あらわれる

[説文解字]
[金文]

[字形] 会意
旧字はに作り、彳(てき)+(ちょう)+攴(ぼく)。彳(道路)において、(長髪の人)を攴(う)()つ形。長髪の人は長老とも、また巫女とも解されるが、要するにすぐれた呪的能力をもつもの。これを殴(う)って、敵方に対する懲罰的な行為として、味方の要求するところを徴し、あわせて懲罰を加える行為をいう。その効果のあらわれることを徴験という。これと同じ方法で、若い巫女をつことを(微)といい、これは敵方の呪力を微(な)くすることを目的とする。また同じ意味で、髑髏(どくろ)をつことを徼(きよう)といい、その呪霊を刺激して徼(もと)める意である。・徼はみな相似た呪的行為を意味する字である。〔説文〕八上を「召すなり」とし、の省に従う字で、「に行ひて而(しか)も聞するは、(め)すなり」(段注本)とするが、隠微の義を承けるものではなく、徴・微・徼は同種の呪儀をいう。(懲)の初文。もと敵を懲らしめる行為であった。

[訓義]
1. こらしめる、もとめる、めす、めしよせる、とりたてる。
2. しるし、あかし、あかしをもとめる、あかしをたてる、といただす。
3. あらわれる、あらわす、明らかにする、つまびらか。
4. なる、なす、結果。
5. 澂(ちよう)と通じ、きよめる、すむ。

[古辞書の訓]
名義抄 シルス・シルシ・ヤム・ハタル・アラハス・メス・モトム・ナス・ナル・タダス・トドム・モヨホス・シキス・セム・イマシム・タフトシ・トガ・カス/ ハバメオモフ 〔字鏡集〕 トドム・シキル・ハタス・コラス・タダス・モヨホス・アラハス・ケヤシ・シルシ・モトム・トガ・ヨシ・ナル・メス・ヤム・セム・タフトシ・アキラカ・イマシム・スク・カス・サス

[声系]
〔説文〕に声としてを収め、また澂をの省声とする。澂はまた澄に作る字である。

[語系]
・證(証)tjing、dingは声義近く、は長髪の人をって徴求するところを求め、その徴験を求める意。その心意に及ぼすことを懲という。

[熟語]
徴声・徴引・徴役・徴応・徴科・徴怪・徴会・徴勧・徴還・徴求・徴拠・徴挙・徴君・徴験・徴候・徴債・徴士・徴辞・徴収・徴集・徴書・徴祥・徴償・徴召・徴招・徴色・徴信・徴訊・徴瑞・徴迹・徴逐・徴兆・徴調・徴拝・徴発・徴抜・徴表・徴憑・徴賦・徴赴・徴符・徴聘・徴兵・徴辟・徴募・徴命・徴輸・徴用・徴庸・徴要・徴令・徴斂・徴賄
[下接語]
奇徴・吉徴・休徴・咎徴・宮徴・効徴・取徴・寿徴・庶徴・商徴・詔徴・象徴・瑞徴・清徴・追徴・特徴・納徴・敗徴・表徴・符徴・聘徴・変徴・夢徴・明徴

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【五音】より

…五声ともいう。1オクターブの中に設定される五つの音階音,すなわち宮(きゆう),商,角,徴(ち),羽(う)をいう。元来は中国から伝えられた用語が,日本化したもので,5音音階の第1音を調に関係なくつねに宮とし,上に向かって順に商,角……とする。…

【五声】より

…中国音階の基調をなし,日本,朝鮮にも入った。宮・商・角・徴(ち)・羽の5音からなり,徴と宮の半音下の変徴・変宮を加えたものを七声という。 五声は中国では周末から前漢にかけて,その算法を記した《管子》《呂氏春秋》《淮南子(えなんじ)》などがある。…

※「徴」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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