取立てる(読み)トリタテル

デジタル大辞泉 「取立てる」の意味・読み・例文・類語

とり‐た・てる【取(り)立てる】

[動タ下一][文]とりた・つ[タ下二]
多くの中から特別に取り上げる。「一度失敗を―・てて責める」「―・てて言うこともない」
大勢の中から特に選び出して用いる。抜擢する。引き立てる。「店長に―・てる」
催促し徴収する。強制的に取る。「部屋代を―・てる」「税金を―・てる」
取り扱う。使う。
弓矢を―・てむとすれども」〈竹取
そろえる。調える。
「しろがね、こがねの馬、さまざま色々―・てて」〈宇津保・蔵開下〉
築く。建てる。
金堂はそののち倒れ伏したるままにて―・つるわざもなし」〈徒然・二五〉
[類語](2発掘抜擢ばってき起用登用挙用スカウトヘッドハンティング選ぶ拾い上げる引き抜く白羽の矢が立つ/(3徴収徴発徴税収税課税追徴

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「取立てる」の意味・読み・例文・類語

とり‐た・てる【取立】

  1. 〘 他動詞 タ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]とりた・つ 〘 他動詞 タ行下二段活用 〙
  2. 取り上げる。取り上げて立てる。取ってかまえる。
    1. [初出の実例]「弓矢をとりたてんとすれ共手に力もなくなりて」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
  3. 並べ立てる。そろえる。調える。用意する。
    1. [初出の実例]「こぐるま二つづつ、しろがね、こがねの馬、さまざま色々とりたてて」(出典:宇津保物語(970‐999頃)蔵開下)
  4. 特に取り上げていう。特別のものとして数え上げる。
    1. [初出の実例]「をかしきこと、とりたてて書くべき事ならねど」(出典:枕草子(10C終)三六)
    2. 「とりたててはかばかしき御後見(うしろみ)しなければ」(出典源氏物語(1001‐14頃)桐壺)
  5. 特にひいきにする。引き立てる。推挙する。登用する。また、面倒を見る。世話をする。
    1. [初出の実例]「これは外孫なれば取立て領ずる所などもあまたはからひおき」(出典:神皇正統記(1339‐43)下)
  6. 仕立て上げる。髪を結う。
    1. [初出の実例]「うなゐ子がはなちの髪を取たててまきそめ川よ淵瀬かはるな〈源俊頼〉」(出典:永久百首(1116)雑)
  7. 取り去る。ひきはらう。片付ける。
    1. [初出の実例]「かの廂にしかれたりし物はさながらありや。とりたてやしたまひてし」(出典:大和物語(947‐957頃)一四〇)
  8. 催促して徴収する。また、強制的に取る。
    1. [初出の実例]「御年貢之事〈略〉其未進之分は当御代官当地頭より取立候て」(出典:御触書寛保集成‐二三・正徳三年(1713)四月)
  9. とりたつ(取建)

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