応永記(読み)おうえいき

日本歴史地名大系 「応永記」の解説

応永記
おうえいき

一冊

写本 東京大学史料編纂所

解説 旧島津家臨時編輯所本は天保一五年に伊地知季安校訂書写したもので、原名は「往言集」。巻末の元和二年の長谷場越前入道純斎の識語によれば、本書は島津立久の重物として龍雲寺蔵本とある。おもな内容は応永年間の島津氏領内の政治・軍事上の推移を具体的に記述している。元久・久豊・忠国代の奥州家・総州家の対立、渋谷氏・伊集院氏らとの抗争など、史料的価値も高い。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「応永記」の意味・わかりやすい解説

応永記 (おうえいき)

1399年(応永6)に起こった応永の乱経緯を,足利義満の側に立って記した合戦記。1巻。作者未詳。乱の終結後まもないころの成立であろう。記録的性格を帯び,乱にかかわる史料としての信憑性が高い。異称は《大内義弘退治記》,異本に《堺記》がある。文芸的な修飾がみられる《堺記》の方が祖本に近いと推定される。《群書類従所収
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「応永記」の意味・わかりやすい解説

応永記
おうえいき

応永の乱の経過を記した戦記物。別名を『大内義弘(おおうちよしひろ)退治記』ともいう。1巻。『堺記(さかいき)』と題された良質の写本もある。著者、成立年代とも不詳であるが、乱後それほど経ない作品であろう。1399年(応永6)9月から筆をおこし、堺滞留の義弘と幕府側の応酬、双方の軍議・陣立て、12月21日の堺攻防戦と義弘の討ち死に、弟弘茂(ひろもち)の降参、堺の焦土化などを記す。叙述に客観性はあるが、幕府を批判する姿勢はみられない。『群書類従』(合戦部)所収。

[田沼 睦]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「応永記」の意味・わかりやすい解説

応永記
おうえいき

『大内義弘退治記』ともいう。戦記。1巻。作者,成立年ともに未詳。応永6 (1399) 年冬,大内義弘が堺にたてこもって室町幕府に反抗した一件や,義弘が南朝方と結んだこと,土一揆のことなどが主記事。『群書類従』所収。

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