出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
煎茶器の一種。茶瓶,茶注などともいう。小型の土瓶ともいうべきもので,おもに陶磁器であるが金属製のものもある。急焼,急備焼とも書き,〈きびしょう〉〈きびしょ〉とも呼ぶ。もともとは中国で酒を暖める具とされていたが,江戸時代に日本に伝えられ,煎茶に用いられるようになったとされる。現在では湯缶(とうかん)と呼ぶ湯わかしときゅうすとは別のものと区別されているが,もともと両者は同じであり,それを〈二物のごとくもてはやす俗習〉が生じたのは30~40年このかたのことだと,尾張藩の儒者である深田精一はその著《煎茶訣(せんちやけつ)》(1849成立)に述べている。煎茶道の祖とされる売茶翁高遊外は中国製のものを愛用し,清水六兵衛がそれを模したものは世上売茶(翁)形と呼んで珍重された。これは手と注ぎ口が直角についているもので,煎茶器に多くの名品をのこした青木木米のきゅうすもこの形が多い。
執筆者:鈴木 晋一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
煎茶(せんちゃ)器の一つで、お茶出しの用具。一般に注(つ)ぎ口と取っ手(握り)をつけた陶磁製のものが広く用いられているが、取っ手のないものは宝瓶(ほうへい)、鉉(つる)のかかったものは土瓶(どびん)とよんで区別している。容量は普通200~600ccで、中に煎茶などの葉を入れ、湯をさして煎じ出し、茶碗(ちゃわん)に注ぐ。玉露(ぎょくろ)用は小型で、急備焼(きびしょ、きびしょう)、茶出しなどともいう。
急須は中国の明(みん)時代に考案され、酒の燗(かん)具として用いられていたが、日本には室町時代に渡来し、文化・文政(ぶんかぶんせい)期(1804~30)以降、煎茶の流行とともに普及した。京都の陶工たちにより名器も製作され、ことに青木木米(もくべい)や池大雅(いけのたいが)らの文人・画人にもてはやされて、個性的な自作の急須も生まれた。幕末の女流歌人大田垣蓮月(おおたがきれんげつ)は、自詠の和歌を刻んだものを多く残している。現在、常滑(とこなめ)焼(愛知)、相川(あいかわ)焼(新潟)、万古(ばんこ)焼(三重)、清水(きよみず)焼(京都)などが有名で、陶磁製のほか銀、錫(すず)、銅、アルマイトなどの金属製も出回っている。
[宮垣克己]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…煎茶とは茶葉を湯で煎じて飲むこと,抹茶(挽茶(ひきちや))以外の日常に飲む茶あるいはその茶葉を総称する場合もある。茶の湯(茶道)に対して,煎茶の煎法,手前,作法を煎茶道という。
【歴史】
[日本人と喫茶]
〈煎茶〉の文字の,日本における文献上の初見は《日本後紀》の815年(弘仁6)に嵯峨天皇が,近江国唐崎に行幸し,その帰路梵釈寺に立ち寄ったときの記録である。〈大僧都永忠,手自煎茶奉御(手自ら茶を煎じ奉御)……〉と記されている。…
※「急須」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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