日本茶(読み)ニホンチャ

デジタル大辞泉 「日本茶」の意味・読み・例文・類語

にほん‐ちゃ【日本茶】

日本でつくられる茶。特に、緑茶をいう。
[類語]緑茶グリーンティー煎茶玉露番茶ほうじ茶玄米茶碾茶てんちゃ抹茶碾き茶薄茶お薄濃い茶芽茶葉茶茎茶粉茶銘茶粗茶渋茶新茶空茶からちゃ出涸らし

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精選版 日本国語大辞典 「日本茶」の意味・読み・例文・類語

にほん‐ちゃ【日本茶】

  1. 〘 名詞 〙 ( 紅茶など外国の茶に対して ) 日本で飲まれる茶、特に緑茶をいう。
    1. [初出の実例]「米には日本茶行はれ、英には支那茶を専用す」(出典:米欧回覧実記(1877)〈久米邦武〉二)

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食の医学館 「日本茶」の解説

にほんちゃ【日本茶】

《栄養と働き》


 お茶はアジアの亜熱帯地域を原産とするツバキ科の植物です。お茶を飲む習慣は4000~5000年前に中国ではじまったとされ、日本には聖徳太子の時代に、仏教とともに伝来したと考えられています。
 当初、もっぱら薬として利用されていたお茶が一般に広まるのは、鎌倉時代の僧・栄西(えいさい)が抹茶(まっちゃ)を日本に伝えてから。その後、千利休(せんのりきゅう)によって茶道の体系が完成し、さらに江戸時代に入ると、現在と同様に煎茶(せんちゃ)として飲む習慣が一般的となります。
 このように、もとをたどると中国伝来の文化であるお茶ですが、日本に伝わってからは独自の発達を遂げました。
 そんな日本茶が中国茶と大きく異なるのが、茶葉の発酵法です。
 お茶の葉は摘み取った直後から、自身のもつ酸化酵素の働きで発酵をはじめます。この発酵のさせ方に多彩な種類のある中国茶や紅茶に対し、日本茶は発酵をさせない緑茶のみ。また、発酵を止める加熱法も、中国の緑茶が釜煎(い)りでの加熱なのに対し、日本のお茶は大半が蒸気で蒸(む)しています。
 そのため、日本茶はお茶独特のうまみや渋み、青っぽい香りが、より鮮明に味わえるのが持ち味です。
 以下に、おもな日本茶の製法とその特徴を挙げておきます。
・煎茶/もっとも一般的な日本茶。日光をあてて育てた茶葉を蒸して揉(も)み、乾燥したもの。甘み、渋み、香りのバランスのよさが持ち味。
・玉露/畑におおいをかけ、日光をさえぎって育てた茶葉でつくられる高級茶。うまみ、甘みが強く、香り高い。これをひいたものが抹茶。
・番茶/伸びすぎてかたくなった茶葉や、茶畑の刈り込みでとれた茶葉でつくられるお茶。渋みが強めで、すっきりした味わいが持ち味。
・ほうじ茶/番茶を焙烙(ほうろく)で煎ったお茶で、特有の香ばしさが特徴。カフェインタンニンが少なく、刺激が弱いので子どもやお年寄りにも好適。
・玄米茶/番茶や煎茶に、煎った玄米を混ぜたお茶。ほうじ茶とは異なった香ばしさがあり、日常用のお茶として人気が高い。
・粉茶/製造途中でできる、茶葉の粉だけを集めたお茶。煎茶のものと玉露のものがある。味が濃く、寿司屋のお茶としておなじみ。
〈ビタミン、ミネラルに加え、健康成分のカテキンを豊富に含有〉
○栄養成分としての働き
 日本茶に含まれる栄養素は、基本的に中国茶や紅茶と共通しており、その茶葉はカルシウムカリウム、鉄、カロテンなどを豊富に含んでいます。ただ、発酵を行っていないために、生の葉の成分がそのまま残っているところが大きなちがいで、烏龍(ウーロン)茶や紅茶には、ほとんど含まれないビタミンCを含んでいるほか、抹茶にはビタミンEもかなり含まれています。
 さらに、抗酸化力の強いエピガロカテキンガレートというカテキンが非常に豊富なところも、日本茶の大きな特徴。
 このカテキンには、コレステロール値、血糖値の上昇を抑制する作用のほか、血栓(けっせん)の生成防止や、活性酸素の中和などの働きがあります。また、病原性大腸菌O(オー)―157に対する抗菌作用が話題となったことで知られるとおり、強い殺菌力があり、細菌のだす毒素の活性を抑える力ももっています。
 こうした成分の働きにより、日本茶は眠気をさまし、疲労、二日酔いの回復に役立つほか、かぜ、高血圧、脂質異常症、動脈硬化血栓症脳梗塞(のうこうそく)、糖尿病、老化、食中毒、口臭、口内炎(こうないえん)むし歯の予防にも有効。うがいに使えば、のどの痛みをやわらげる効果もあります。
〈栄養成分をまるごととれる抹茶に注目〉
 ところで、日本茶の飲み方として、煎茶以上に注目したいのが抹茶(まっちゃ)です。茶葉に含まれている成分は、煎茶のようにお湯に抽出した場合、含有量全体の3分の1程度しか溶けださず、とくに脂溶性ビタミンのカロテン、D、Eなどは大半が茶殻(ちゃがら)のほうに残ってしまいます。
 しかし、抹茶は茶葉そのものを粉にして飲むわけですから、これらのお湯に溶けださない成分も、残らず摂取することができるのです。とくに、二日酔いには1杯の抹茶がたいへん効果的。茶道の先生に長寿で健康な人が多いのは、抹茶のおかげとよくいわれますが、それもこうした話と無関係ではありません。
 また、同様の観点から、煎茶を飲んだ場合も、残った茶殻を捨ててしまうのは、たいへんもったいない話です。茶殻は野菜として食べられるので、料理に使って、残っている栄養素をしっかり利用しましょう。

《調理のポイント》


 先にも述べたとおり、茶葉の発酵という点からみた場合、日本茶はすべて不発酵の緑茶です。しかし、その成育法やお茶にする部位によって、さまざまな種類の日本茶があり、味わいもそれぞれ異なっているのは、ご存じのとおり。代表的なものとしては、煎茶、玉露(ぎょくろ)、番茶、ほうじ茶、玄米茶(げんまいちゃ)、粉茶(こなちゃ)などがあげられます。
 じっくり、お茶の香りやうまみなどを味わいたいときには玉露、のどを潤すのにたっぷり飲みたいときには、番茶やほうじ茶といった具合に、持ち味によって使い分けてください。
 日本茶をおいしく入れるには、煎茶の場合、80度程度のお湯100mlに茶葉約5gを入れ、1分間蒸(む)らして注ぐのが基本。同様の分量で、番茶やほうじ茶には100度の熱湯を使い、玉露の場合、60度程度の湯で2分間ほど蒸らすようにします。
 日本茶を選ぶ際に気をつけるポイントは、色が鮮やかで香り高く、よく乾燥したものを選ぶこと。玉露のように高級なお茶は、大きさがそろっていて、細くきれいによりが入ったものが良品です。また、安いお茶にくらべると、上質なお茶は味や香りがよいうえ、栄養素も豊富で、一度入れた茶葉で何回も楽しめます。その意味で、ある程度の値段の品を買ったほうが、結果として得といえるでしょう。
〈保存は冷蔵庫で早めに使いきる〉
 保存する場合は、密閉できる容器に入れて、冷蔵庫で保存するのが絶対条件。それでも、日本茶は湿気を吸いやすく、鮮度の落ちるのが早いため、蓋(ふた)の開閉の間に品質が劣化してしまいます。風味や栄養素をそこなわないためにも、少量ずつ買って、どんどん使いきるのがベストです。
○注意すべきこと
 中国茶と同様、日本茶も空腹時に濃いものを飲んだり、一度に飲みすぎることは、胃に負担をかけるので好ましくありません。また、一度入れたあと、長い時間置いてあったものも、タンニンが変質して胃腸によくないので、飲むのは避け、新しい茶葉を使うようにしてください。

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飲み物がわかる辞典 「日本茶」の解説

にほんちゃ【日本茶】


日本で作られる茶の総称不発酵茶(茶の葉を摘採後ただちに蒸すなどして加熱し、葉を酸化させずに作るもの)である緑茶が大部分を占め、煎茶、番茶、玉露、玉緑茶、抹茶などがある。

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