悉曇学(読み)シッタンガク

デジタル大辞泉 「悉曇学」の意味・読み・例文・類語

しったん‐がく【×曇学】

梵語梵字に関する研究部門。仏教渡来後、経典中の梵語の音訳語や陀羅尼だらにを理解するために、日本で始められた。特に、密教関係の学僧により大きな発展をみ、国語学史上にも多く影響を与えた。悉曇

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精選版 日本国語大辞典 「悉曇学」の意味・読み・例文・類語

しったん‐がく【悉曇学】

  1. 〘 名詞 〙 梵語(サンスクリット)・梵字に関する研究。仏教渡来後、経典中の音訳語や陀羅尼(だらに)を理解するために始められた。空海ら平安初期の入唐僧が多く学び伝えてから、特に密教方面で特殊な発達をし、また、国語学の発達にも多大な影響を与えた。五十音図配列には悉曇の影響があるといわれている。悉曇。
    1. [初出の実例]「文雄は文化四年(西暦千八百四年)刊の磨光韻鏡余論巻の中の八葉に、悉曇学に於ける九囀十八囀八囀二十四囀の事を説き」(出典:国語のため(1895)〈上田万年〉本居春庭伝)

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百科事典マイペディア 「悉曇学」の意味・わかりやすい解説

悉曇学【しったんがく】

日本における悉曇に関する学問とその伝統。特に密教において盛んであったものをさす。空海の集成もあるが,平安初期の安然(あんねん)の《悉曇蔵》がすぐれ,平安末期の明覚(みょうかく)の《悉曇要訣》,江戸時代の浄厳(じょうごん)の《悉曇三密鈔》は代表的である。契沖も悉曇学の伝統を受けていたし,本居宣長も悉曇を学んだほど伝統的であったが,文字と発音の研究が中心で,文法の研究には至らなかった。
→関連項目音義説国語学声明

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世界大百科事典(旧版)内の悉曇学の言及

【悉曇】より

…シッダ・マートリカー文字は,6世紀のグプタ文字から発展した変種で,筆記体としては法隆寺の貝葉写本がその代表例とされている。悉曇学とは,中国,日本において,サンスクリット文字に対してなされた文字,音声の学をいう。《大般涅槃経(だいはつねはんぎよう)》の〈文字品(もんじぼん)〉(ないしはそれに相当する部分)に対する注解の形をとって始まった。…

※「悉曇学」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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