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親鸞(しんらん)の思想の一つ。「歎異抄(たんにしょう)」の「善人なをもて往生をとぐ,いはんや悪人をや」に代表される。この言葉は醍醐寺本「法然上人伝記」にもみえ,師の法然から継承したとされる。その解釈には諸説あるが,善人とは自力で修行する人,悪人とは煩悩をもつすべての大衆をさす。人々は平等に悪人なのであり,その自覚のない善人ですら往生できるのだから,悪人であることを自覚した他力信仰者の往生は疑いない,と解釈するのが近年の説。親鸞の悪人正機説は,大衆に対する蔑視を捨てた平等思想にもとづくものとされる。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
出典 旺文社日本史事典 三訂版旺文社日本史事典 三訂版について 情報
…本書において親鸞の宗教の特徴を的確に把握できる。例えば,第3章には〈善人なをもて往生をとぐ,いはんや悪人をや〉と,悪人こそ阿弥陀仏の救いの主対象なのだという悪人正機(あくにんしようき)説を記している。この悪人を武士,商人あるいは漁夫など特定の社会階層にあてて理解する場合があるが,親鸞はみずからを清浄心なき汚濁の悪人とし,さらには〈よろづのこと,みなもて,そらごと,たはごと,まことあることなきに〉(結びの文)と,現実世界のあらゆる存在や行為はすべて虚仮(こけ)であるとする。…
※「悪人正機説」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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