悪人正機説(読み)アクニンショウキセツ

デジタル大辞泉 「悪人正機説」の意味・読み・例文・類語

あくにんしょうき‐せつ〔アクニンシヤウキ‐〕【悪人正機説】

阿弥陀仏あみだぶつ本願悪人を救うためのものであり、悪人こそが、救済対象だという考え方親鸞しんらん念仏思想神髄とされる。

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精選版 日本国語大辞典 「悪人正機説」の意味・読み・例文・類語

あくにんしょうき‐せつ‥シャウキ‥【悪人正機説】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「機」は教の対象の意 ) 阿彌陀仏の本願である救いは、悪人こそ受けられるものであるという説。浄土真宗の真髄とされる。

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百科事典マイペディア 「悪人正機説」の意味・わかりやすい解説

悪人正機説【あくにんしょうきせつ】

浄土真宗の開祖親鸞(しんらん)の根本思想。《歎異鈔(たんにしょう)》に〈善人なおもて往生をとぐ,いはんや悪人をや〉とある。善人(自力作善の人)は自己能力で悟りを開こうとし,仏に頼ろうとする気持が薄いが,煩悩にとらわれた凡夫(悪人)は仏の救済に頼るしかないとの気持が強いため,阿弥陀仏に救われるとした。すべては阿弥陀仏の本願によるとの絶対他力の思想につながる。
→関連項目悪人往生譚

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「悪人正機説」の解説

悪人正機説
あくにんしょうきせつ

親鸞(しんらん)の思想の一つ。「歎異抄(たんにしょう)」の「善人なをもて往生をとぐ,いはんや悪人をや」に代表される。この言葉は醍醐寺本「法然上人伝記」にもみえ,師の法然から継承したとされる。その解釈には諸説あるが,善人とは自力で修行する人,悪人とは煩悩をもつすべての大衆をさす。人々は平等に悪人なのであり,その自覚のない善人ですら往生できるのだから,悪人であることを自覚した他力信仰者の往生は疑いない,と解釈するのが近年の説。親鸞の悪人正機説は,大衆に対する蔑視を捨てた平等思想にもとづくものとされる。

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旺文社日本史事典 三訂版 「悪人正機説」の解説

悪人正機説
あくにんしょうきせつ

鎌倉初期の僧親鸞の主張した宗教説
人間は本来罪深い凡夫(悪人)であること,このような悪人を救済し成仏させるのが阿弥陀如来の本願であることを強調し,悪人こそ弥陀に救済される対象であることを信じ,ひたすら念仏を唱えることを説いた。

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世界大百科事典(旧版)内の悪人正機説の言及

【歎異抄】より

…本書において親鸞の宗教の特徴を的確に把握できる。例えば,第3章には〈善人なをもて往生をとぐ,いはんや悪人をや〉と,悪人こそ阿弥陀仏の救いの主対象なのだという悪人正機(あくにんしようき)説を記している。この悪人を武士,商人あるいは漁夫など特定の社会階層にあてて理解する場合があるが,親鸞はみずからを清浄心なき汚濁の悪人とし,さらには〈よろづのこと,みなもて,そらごと,たはごと,まことあることなきに〉(結びの文)と,現実世界のあらゆる存在や行為はすべて虚仮(こけ)であるとする。…

※「悪人正機説」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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