情け無い(読み)ナサケナイ

デジタル大辞泉 「情け無い」の意味・読み・例文・類語

なさけ‐な・い【情け無い】

[形][文]なさけな・し[ク]
思いやりがない。無情である。すげない。
「随分―・い、苛酷な事もためらわずにする」〈鴎外山椒大夫
同情余地がない。嘆かわしい。「―・い成績に終わる」「優柔不断な自分が―・い」
みじめである。見るにしのびない。「ずぶぬれの―・い姿」「―・い声で訴える」
無風流である。風情がない。
「白き単衣ひとへの―・くあざやぎたる」〈手習
[類語]嘆かわしい哀れ残念駄目絶望的なってないいけないしようがないどうしようもない処置無しはしにも棒にも掛からない腑甲斐ふがい無い役立たず無能

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精選版 日本国語大辞典 「情け無い」の意味・読み・例文・類語

なさけ‐な・い【情無】

  1. 〘 形容詞口語形活用 〙
    [ 文語形 ]なさけな・し 〘 形容詞ク活用 〙
  2. 情愛や思いやりがない。薄情である。すげない。
    1. [初出の実例]「子三人を呼びて語りけり。二人の子は、なさけなくいらへて止みぬ」(出典:伊勢物語(10C前)六三)
    2. 「ああ人情(ナサケ)無い野郎め、のっそりめ」(出典五重塔(1891‐92)〈幸田露伴〉一七)
  3. 情緒・風情に欠けている。興ざめである。
    1. [初出の実例]「すき給はざらんもなさけなくさうざうしかるべしかし」(出典:源氏物語(1001‐14頃)夕顔)
  4. 情容赦なく、残酷である。ひどい。
    1. [初出の実例]「呉楚七国は亜夫が巧て平らげられたか、なさけなう罪人にして殺されたぞと論したぞ」(出典:史記抄(1477)八)
    2. 「そこで随分情(ナサケ)ない、苛酷な事も、ためらはずにする」(出典:山椒大夫(1915)〈森鴎外〉)
  5. 期待に反して、興ざめのするさまである。なげかわしくて残念である。みじめで見るにしのびない。
    1. [初出の実例]「寒き夜ものまぬや貧はなさけない〈以専〉」(出典:俳諧・口真似草(1656)四)
    2. 「云はなくともいい事を云って、恥をかいた自分が、情(ナサケ)なくなったからである」(出典:芋粥(1916)〈芥川龍之介〉)

情け無いの派生語

なさけな‐が・る
  1. 〘 自動詞 ラ行五(四) 〙

情け無いの派生語

なさけな‐げ
  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙

情け無いの派生語

なさけな‐さ
  1. 〘 名詞 〙

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