愛西(市)(読み)あいさい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「愛西(市)」の意味・わかりやすい解説

愛西(市)
あいさい

愛知県西部にある市。西部は岐阜県と、南西部は三重県と接する。2005年(平成17)、海部(あま)郡佐屋町(さやちょう)、佐織町(さおりちょう)、立田村(たつたむら)、八開村(はちかいむら)が合併して市制施行、愛西市となる。市域木曽川左岸の海抜ゼロメートル地帯を占め、とくに木曽川と佐屋川に挟まれた地域は古くから洪水に悩まされてきた。古い集落は旧佐屋川の自然堤防上や輪中(わじゅう)堤防上にあった。佐屋川は1897年(明治30)の鵜多須(うたす)切れの水害契機に、木曽三川改修工事によって廃川(取水停止)となった。JR関西本線、名古屋鉄道津島線、同尾西(びさい)線、国道1号、155号が通じる。東名阪(ひがしめいはん)自動車道の弥富(やとみ)インターチェンジが近い。木曽川には北部に東海大橋(1228メートル)、南部に立田大橋が架かる。

 北東部の勝幡町(しょばたちょう)には1504年(永正1)に織田信定(のぶさだ)が築いたと伝える勝幡城跡がある。信定を継いだ信秀(のぶひで)も居城し、信長はこの父の城で誕生した。1634年(寛永11)東海道の宮宿(みやのしゅく)(現、名古屋市熱田区)から分岐して当地の佐屋に至る脇往還(わきおうかん)佐屋路(さやじ)が開通、佐屋宿、佐屋湊(みなと)が整備された。佐屋宿には本陣もあり、佐屋湊から桑名(くわな)までは海路で3里。

 旧佐織町域では江戸時代に参宮客相手につくった木綿佐織縞(じま)を引き継ぐという地場産業の毛織物工業がある。耕地水稲、温床栽培の芽ショウガ、低湿地での蓮根(れんこん)栽培、トマトやイチゴなどのハウス栽培、鉢花などの近郊農業が行われている。市域は名古屋市への通勤者が急増、名古屋市のベッドタウンとして発展している。面積66.70平方キロメートル、人口6万0829(2020)。

[編集部]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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