1999年(平成11)4月施行の感染症法(感染症予防・医療法=感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律)で指定される未知の新しい感染症のこと。2003年4月、重症急性呼吸器症候群(SARS(サーズ))が指定第1号となった。同法では従来の感染症を、その強さや性質、対応策に応じて危険性がもっとも高いと考えられる1類(エボラ出血熱、ペストなど7病)を筆頭に、2類(ポリオなど)、3類(腸間出血性大腸菌感染症など)、4類(黄熱など)、5類(破傷風など)に分類した。新感染症は原因不明のため1~5類に当てはまらないが、伝染力や症状から危険性がきわめて高い新興感染症で、指定後は1類と同等の扱いになる。SARSは診断法も確立していない段階での緊急指定であったため、「香港(ホンコン)などの流行地から帰国後10日以内に発熱や肺炎などをおこし、抗生物質で3日以内に改善せず、ほかの病気と診断できない場合」に感染のおそれのある患者とした。医師は感染のおそれのある患者を診察した場合、すぐに保健所を通じて都道府県に届け出る。都道府県は厚生労働省に連絡するとともに、その患者や、患者に接触した人たちに対し健康診断を受けさせることができる。さらに必要な場合は、空気感染に対応して、独立の換気で陰圧にするなど設備の整った特別病室への強制入院や住居、職場等の消毒などの措置をとることができる。患者の立場を考慮し、入院は当初は10日間に制限され、感染の危険がなくなれば退院させなければならないが、現実にはその判断は非常にむずかしそうである。
[田辺 功]
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