肋間神経痛(読み)ロッカンシンケイツウ(英語表記)intercostal neuralgia

デジタル大辞泉 「肋間神経痛」の意味・読み・例文・類語

ろっかん‐しんけいつう〔ロクカン‐〕【×肋間神経痛】

肋間神経の分布領域に生じる神経痛。侵された神経の高さに沿って帯状に痛む。肋骨脊椎病気原因となるが、原因不明の場合も多い。

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精選版 日本国語大辞典 「肋間神経痛」の意味・読み・例文・類語

ろっかん‐しんけいつうロクカン‥【肋間神経痛】

  1. 〘 名詞 〙 肋間神経におこる疼痛。胸内疾患、脊椎疾患などで起こる。痛みは激しくしかも持続的で、深呼吸せきができなくなる。
    1. [初出の実例]「それはほんとに或不思議な、一種の肋間神経痛に似た痙攣的な痛みであった」(出典:神経病時代(1917)〈広津和郎〉七)

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改訂新版 世界大百科事典 「肋間神経痛」の意味・わかりやすい解説

肋間神経痛 (ろっかんしんけいつう)
intercostal neuralgia

肋間神経に生ずる激しい痛み。突発的に生ずる肋骨の走行に沿ったつきさすような痛みで,外傷,感染,圧迫,寒冷などにより生ずると考えられ,肋骨の下面を押すと圧痛がみられ,咳や深呼吸により増強する。ウイルス性疾患である帯状疱疹も肋間神経痛をきたすことがあるが,同時に神経の支配領域に相当する部位に小水疱をもった発疹を伴うことが特徴である。肋間神経痛と鑑別すべきものとしては,骨疾患のための骨痛や脊髄疾患などのほかに,胸腔内および腹部臓器の疾患のための痛みがある。とくに狭心症,心筋梗塞(こうそく),解離性大動脈瘤,自然気胸,消化性潰瘍,胆石症などとの鑑別は重要である。自然に消失することが多いが持続することもある。治療としてはビタミン剤,鎮痛剤投与のほかに,難治性の場合には局所麻酔剤注入による肋間神経ブロックを行うこともある。
神経痛
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「肋間神経痛」の意味・わかりやすい解説

肋間神経痛
ろっかんしんけいつう
intercostal neuralgia

急激におこり、椎骨(ついこつ)より肋骨に沿って前方に放散する痛みを特徴とする病気で、痛みは比較的短時間で治まるが反復する。肋間神経は肋間筋の運動および前胸部や側胸部の皮膚の知覚を支配している神経で、肋骨に沿って走行しており、第5~第9肋間神経が侵されやすい。原因がみいだせない原発性肋間神経痛もあるが、帯状疱疹(ほうしん)、肋骨・脊椎(せきつい)疾患、脊髄腫瘍(しゅよう)、大動脈瘤(りゅう)、胸膜炎、心臓疾患など種々の病気が原因となっておこる続発性肋間神経痛が多い。続発性肋間神経痛では体位や咳(せき)・深呼吸など胸郭運動によって疼痛(とうつう)が増強し、原因疾患の治療が必要で、対症的には鎮痛剤やビタミン剤などが投与される。原発性肋間神経痛の場合には、リドカインなど局所麻酔剤あるいはアルコールによる肋間神経ブロックが行われることもある。ちなみに、肋間神経ブロックは肋間神経痛の治療ばかりでなく、ときに上腹部手術の補助麻酔や胸壁手術の麻酔に用いられることもある。

[海老原進一郎]

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百科事典マイペディア 「肋間神経痛」の意味・わかりやすい解説

肋間神経痛【ろっかんしんけいつう】

肋骨の間を走る脊髄神経である肋間神経に沿って起こる神経痛。激痛が肋骨に沿って後ろから前に放散,肋間を押すと圧痛がある。深呼吸や咳(せき)は神経痛を誘発しやすい。原因は肋骨・脊柱・脊髄などの疾患,胸膜炎帯状疱疹(ほうしん),大動脈瘤(りゅう),肺炎,肺癌(がん)など。治療には原因療法のほか鎮痛薬,鎮静薬投与などを行う。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「肋間神経痛」の意味・わかりやすい解説

肋間神経痛
ろっかんしんけいつう
intercostal neuralgia

肋間神経 (→胸神経 ) に沿って起る痛み。痛みはうしろから前に,普通は片側に起り,右側よりは左側に多い。激しい痛みが発作的に起り,深呼吸,咳,高声の談話などによってひどくなり,肋骨の間を押すと圧痛がある。肋骨,脊椎,脊髄などの疾患によって起るものが多く,しばしば帯状疱疹を伴う。鎮痛剤などで痛みを押え,原因疾患の発見と治療にあたる。

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世界大百科事典(旧版)内の肋間神経痛の言及

【神経痛】より

…痛みは持続性で,刺すように鋭く,鎮痛剤やカルバマゼピンなどの抗痙攣剤の内服または神経ブロックが行われるが,難治性で,ときには1年以上も続くことがある。
[肋間神経痛intercostal neuralgia]
 肋間神経は胸神経の前枝で,肋骨に沿って走る12対の神経であり,肋間筋の運動および胸部の感覚を支配している。本症では,この神経に沿って痛みが存在し,呼吸など胸部運動によって増悪する。…

【胸痛】より

…胸壁の神経のうち,肋骨の間を走行する神経(肋間神経)の病気では,その走行に一致して,刺すような痛みを感ずる。これが肋間神経痛である。同じような症状を示すものに,神経区域に一致して,発疹を発生するウイルス性疾患の帯状疱疹がある。…

【神経痛】より

…痛みは持続性で,刺すように鋭く,鎮痛剤やカルバマゼピンなどの抗痙攣剤の内服または神経ブロックが行われるが,難治性で,ときには1年以上も続くことがある。
[肋間神経痛intercostal neuralgia]
 肋間神経は胸神経の前枝で,肋骨に沿って走る12対の神経であり,肋間筋の運動および胸部の感覚を支配している。本症では,この神経に沿って痛みが存在し,呼吸など胸部運動によって増悪する。…

※「肋間神経痛」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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