肋間神経に生ずる激しい痛み。突発的に生ずる肋骨の走行に沿ったつきさすような痛みで,外傷,感染,圧迫,寒冷などにより生ずると考えられ,肋骨の下面を押すと圧痛がみられ,咳や深呼吸により増強する。ウイルス性疾患である帯状疱疹も肋間神経痛をきたすことがあるが,同時に神経の支配領域に相当する部位に小水疱をもった発疹を伴うことが特徴である。肋間神経痛と鑑別すべきものとしては,骨疾患のための骨痛や脊髄疾患などのほかに,胸腔内および腹部臓器の疾患のための痛みがある。とくに狭心症,心筋梗塞(こうそく),解離性大動脈瘤,自然気胸,消化性潰瘍,胆石症などとの鑑別は重要である。自然に消失することが多いが持続することもある。治療としてはビタミン剤,鎮痛剤の投与のほかに,難治性の場合には局所麻酔剤注入による肋間神経ブロックを行うこともある。
→神経痛
執筆者:楠 進
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急激におこり、椎骨(ついこつ)より肋骨に沿って前方に放散する痛みを特徴とする病気で、痛みは比較的短時間で治まるが反復する。肋間神経は肋間筋の運動および前胸部や側胸部の皮膚の知覚を支配している神経で、肋骨に沿って走行しており、第5~第9肋間神経が侵されやすい。原因がみいだせない原発性肋間神経痛もあるが、帯状疱疹(ほうしん)、肋骨・脊椎(せきつい)疾患、脊髄腫瘍(しゅよう)、大動脈瘤(りゅう)、胸膜炎、心臓疾患など種々の病気が原因となっておこる続発性肋間神経痛が多い。続発性肋間神経痛では体位や咳(せき)・深呼吸など胸郭運動によって疼痛(とうつう)が増強し、原因疾患の治療が必要で、対症的には鎮痛剤やビタミン剤などが投与される。原発性肋間神経痛の場合には、リドカインなど局所麻酔剤あるいはアルコールによる肋間神経ブロックが行われることもある。ちなみに、肋間神経ブロックは肋間神経痛の治療ばかりでなく、ときに上腹部手術の補助麻酔や胸壁手術の麻酔に用いられることもある。
[海老原進一郎]
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…痛みは持続性で,刺すように鋭く,鎮痛剤やカルバマゼピンなどの抗痙攣剤の内服または神経ブロックが行われるが,難治性で,ときには1年以上も続くことがある。
[肋間神経痛intercostal neuralgia]
肋間神経は胸神経の前枝で,肋骨に沿って走る12対の神経であり,肋間筋の運動および胸部の感覚を支配している。本症では,この神経に沿って痛みが存在し,呼吸など胸部運動によって増悪する。…
…胸壁の神経のうち,肋骨の間を走行する神経(肋間神経)の病気では,その走行に一致して,刺すような痛みを感ずる。これが肋間神経痛である。同じような症状を示すものに,神経区域に一致して,発疹を発生するウイルス性疾患の帯状疱疹がある。…
…痛みは持続性で,刺すように鋭く,鎮痛剤やカルバマゼピンなどの抗痙攣剤の内服または神経ブロックが行われるが,難治性で,ときには1年以上も続くことがある。
[肋間神経痛intercostal neuralgia]
肋間神経は胸神経の前枝で,肋骨に沿って走る12対の神経であり,肋間筋の運動および胸部の感覚を支配している。本症では,この神経に沿って痛みが存在し,呼吸など胸部運動によって増悪する。…
※「肋間神経痛」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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