デジタル大辞泉
「顎関節症」の意味・読み・例文・類語
がくかんせつ‐しょう〔ガククワンセツシヤウ〕【顎関節症】
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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顎関節症【がくかんせつしょう】
顎(あご)の関節を動かす筋肉や,関節の機能異常の病気。口を大きく開けたり,ものをかんだりしたときに,動きがぎこちない,痛みをともなう,口を開閉すると関節が鳴るなどの症状がある。10代〜20代の若い女性に多く,X線検査をしても骨には異常がない。ほぼ同じ症状が50代〜60代の人に起こることもあるが,これは関節の老化による病気で変形性顎関節症とよばれ,X線検査で骨に異常がみられる。 原因は,抜けた歯をそのままにして片側だけでかむ,合わない入歯や歯の充填(じゅうてん)物があるといったかみ合わせの異常や,関節や筋肉への負担,精神的なストレスによる筋肉の緊張などが考えられている。最近では,カップ麺など軟らかいインスタント食品が若者に好まれ,硬いものをよくかんで食べる習慣が少なくなり,顎の発達が悪くなったこともあって,この病気が増えている。 治療は,原因が明らかであればそれを取り除き,顎関節や筋肉の痛みを取るため抗炎症剤を投与する。関節の間にあってクッションの働きをしている関節円盤に異常があれば,手術を行うこともある。1994年4月から内視鏡による手術も健康保険の適用となった。この方法は,皮膚から直径2mmの関節鏡を差し込んで,テレビモニターを見ながら変形した関節円盤を元に戻したり,人工のものに取り替えるもので,顔に傷痕が残らず,後遺症もほとんどない。→不正咬合
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
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顎関節症
がくかんせつしょう
口の開閉に伴い顎関節やその周囲に痛みを感じる疾患。顎関節痛(あごが痛む)、開口障害(口が開かない)、顎関節雑音(あごを動かすと音が生じる)などの代表的な症状がある。日本顎関節学会ではその病態を、そしゃく筋障害(Ⅰ型)、関節包・靭帯(じんたい)障害(Ⅱ型)、関節円板障害(Ⅲ型)、変形性関節症(Ⅳ型)、上記に該当しないもの(Ⅴ型)、の五つに分類している。原因はかみ合わせの悪さとされてきたが、その関連性は薄いと考えられている。かわって歯を食いしばる、歯ぎしりをする、かむ動作の際に歯をカチカチ鳴らすなどのブラキシズムbruxismが原因の一つと考えられるようになっており、ストレスや精神的緊張などの心理的要因も指摘されている。ほかに、左右の一方に偏る日常的なそしゃく習慣、頬(ほお)づえをつくなど顎関節に負担のかかる日常習慣、さらにやわらかい食物の摂取が増えてかむ力が衰える傾向にある食生活の変化なども原因とされる。治療法には開口訓練や治療用マウスピースを装着するスプリント療法、鎮痛薬や筋弛緩(しかん)作用のある薬物による化学療法、関節円盤を正常な位置にもどすマニピュレーションなどがある。
[編集部]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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顎関節症
がくかんせつしょう
arthrosis of the temporomandibular joint; temporomandibular joint dysfunction
顎関節部の疼痛,雑音,異常顎運動 (ことに開口が制限される) などを症状とする非炎症性の慢性疾患。一側性のことが多い。顎関節を動かす筋肉群が興奮しやすくなっているためといわれ,その原因として外傷,過度の開口,不正咬合,不適合の充填補綴物,精神的ストレスなどがあげられる。 20歳代の女性に多い。治療には,まず原因を取除き (咬合処置など) ,物理療法 (赤外線,超短波など) ,薬物療法,顎運動練習などを行うが,手術を必要とする場合もある。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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世界大百科事典(旧版)内の顎関節症の言及
【歯痛】より
…
[その他の痛み]
精神的ストレスや歯のかみ合せの異常によって顎関節付近に痛みを生じることがある。ときには痛みだけでなく,口が開きにくい,口の開閉運動のときに顎関節部に雑音がある等の症状の合併することもあり,顎関節症と呼ばれている。ストレスの解消,かみ合せの改善によって症状がなくなるが,歯髄疾患や歯周疾患によるものもあり,歯の治療を必要とすることもある。…
※「顎関節症」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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