中国、唐(とう)代の僧。浄土教慈愍(じみん)流の祖。慈愍三蔵(賜号)と尊称される。山東省の人。俗姓は辛(しん)氏。若いとき義浄(ぎじょう)帰唐後の活躍にあこがれ、23歳のとき海路でインドに向かう。前後18年を費やし、70余国を遍歴するが、陸路の帰唐に困難を極めた。ときにインド僧から浄土教を教えられ、719年長安に帰った。帰唐後、念仏、禅、戒律などすべての修行を修めて往生(おうじょう)を願うという浄土教(禅浄戒合行(ぜんじょうかいごうぎょう)思想)を主張し、実践した。慈愍流は宋(そう)代以降、浄土教の主流となった。著述に『浄土慈悲集』『般舟三昧讃(はんじゅざんまいさん)』『西方讃(さいほうさん)』『厭此娑婆浄土讃(おんししゃばじょうどさん)』がある。
[柴田 泰 2017年1月19日]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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