憑(漢字)

普及版 字通 「憑(漢字)」の読み・字形・画数・意味


16画

[字音] ヒョウ
[字訓] よる・たのむ

[字形] 形声
声符は馮(ひよう)。馮の声はおそらく驫(ひよう)よりえたもので、驫は群馬がものに憑(つ)かれたように驚き奔ることをいう。ゆえに馮に憑依の意がある。几(き)(机)に依ることを(ひよう)といい、依も衣に霊が憑依する意。その憑依の情を憑という。〔説文〕十四上に凭(ひよう)を録して「几に依るなり。任几に從ふ」とし、字を馮の声でよむという。また〔書、顧命〕「玉几に凭(よ)る」の文を引くが、今本は憑に作る。〔顧命〕は成王の没するに当たり、康王に継体受霊の秘儀を行うことをしるすもので、古代の即位儀礼の次第が知られる。そのとき多くの衣が庭に陳設されるが、それが「依」の呪儀を示すものであろう。

[訓義]
1. よる、よりつく、のりうつる、やどる、すむ。
2. たよる、たのむ、もたれる。

[古辞書の訓]
名義抄〕憑 タノム・ヨル・イカル・サカリニ・イキドホル・オホイナリ・アツラフ・ヨ(リ)トコロ 〔字鏡集〕憑 ナゲツク・イキドホル・アツラフ・ミツ・ヨル・ヨ(リ)トコロ・イカル・タノム・ハゲム・サカリ

[語系]
憑・馮・凭bingは同声。もと同じ語であろう。馮はおそらく驫声。驫は群馬が憑かれたように狂奔する意。金文の〔羌鐘(ひゆうきようしよう)〕にに作り、屋の形に従うのは、その憑依するところを卜うことがあったからであろう。語彙字条参照。

[熟語]
憑依・憑・憑引憑韻憑応・憑音憑河憑几憑義憑虚憑拠憑愚・憑空・憑係・憑肩・憑険・憑冊憑恃・憑憑舟・憑証憑仗・憑城・憑心憑信憑説・憑弔憑眺・憑怒憑附・憑侮憑妖憑頼・憑欄・憑覧憑隆憑陵
[下接語]
依憑・帰憑・襟憑・恃憑・証憑・信憑・神憑・棲憑・追憑・無憑

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報