(読み)つかれる

精選版 日本国語大辞典 「憑」の意味・読み・例文・類語

つか‐・れる【憑】

〘自ラ下一〙 他の霊魂などにのりうつられた状態になる。
※引照新約全書(1880)馬太伝福音書「鬼に憑(ツカ)れたりし者の事を告ければ」
雪国(1935‐47)〈川端康成〉「だんだん憑かれたやうに声も高まって来ると」

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デジタル大辞泉 「憑」の意味・読み・例文・類語

ひょう【憑】[漢字項目]

[音]ヒョウ(漢) [訓]つく
よりかかる。頼みにする。よりどころ。「憑拠証憑信憑
霊がのり移る。つく。「憑依憑霊
難読憑坐よりまし

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改訂新版 世界大百科事典 「憑」の意味・わかりやすい解説

憑 (たのみ)

陰暦8月1日をいい,その日に行われる祝いの行事をも意味する。たのみの節供,転じてたのむの節供ともいう。このころは田実(たのみ)すなわち秋の実りの季節であって,農村では穂出しの祈願や刈初めの神事が行われる。西日本ではこの日早朝田の畔に出て〈作頼む〉を大声で連呼しあるいは八朔(はつさく)の鳥追と称し,早朝稲穂を促す呪法をするところがある。長野県伊那谷ではタノムサマという神を田の際に祭る。

 こうした農耕行事はすでに鎌倉時代には武家社会にもひろがり,互いに贈答をかわし祝う風習が盛んとなり,弊害もあったのか,将軍家へのものを除いて禁止の命令が鎌倉幕府から出された。同じころ公家社会でも行われていたことが花園天皇の日記にみえる。室町幕府でも恒例の行事として,御たのむ惣奉行伊勢守が禁中進上の目録を大高檀紙1枚に調進する。将軍へは摂家,門跡,公家,大名外様御供衆,惣番衆,頭人奉行,地下衆,職人,牛飼,河原者,散所者など身分の高下を問わず,女性も女中衆,比丘尼衆,加茂衆,御霊,今熊野の巫女などが献上物をする。御返し物は過分に出され職人には200~300疋,医師,加茂衆には唐物,引合などが添えられる。大名,御供衆は御返しの御礼に参上し殿上で酒飯が出される。3日には将軍から各方面への御返しが済み,残りの品を右筆やお使いの同朋衆にくじ引きでたまわる。贈答の品は太刀,馬が一般的で,三宝院満済は将軍義教に屛風,扇,高檀紙を献じ,五重,盆,香合を返しに拝領,中御門宣胤は将軍義稙に太刀,杉原虫籠を進上している。禅宗にもこの風が波及し,義堂周信は泉倉より沈香,砂糖,蠟燭などを贈られている。江戸幕府では,徳川家康の1590年(天正18)のこの日の関東初入部を祝い,諸大名以上が太刀,馬代を将軍に献ずる。幕府から禁中へは二条城の大番頭を使として馬が献上され,清涼殿南庭で天覧に供した。返しには将軍へ金の橘の打杖の造り物,大高檀紙,銚子提箱が下賜された。
贈物 →八朔
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