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成年被後見人 セイネンヒコウケンニン

大辞林 第三版の解説

せいねんひこうけんにん【成年被後見人】

精神上の障害により判断能力を欠く状況にある者として、家庭裁判所の後見開始の審判を受けた者。従来の禁治産者に代わり成年後見制度により導入され、法的な行為は後見人にほぼ代行されるが、日用品の購入など日常生活上の判断はゆだねられる。 → 成年後見制度

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

成年被後見人
せいねんひこうけんにん

「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある」ために、家庭裁判所により後見開始の審判を受けた者をいう(民法7条)。
 成年被後見人は、1999年(平成11)12月の民法改正(2000年4月1日施行)などにより成年後見制度が導入される前の「禁治産・準禁治産制度」の下での「禁治産者」に相当し、制限行為能力者として、日常生活に関する行為以外の法律行為は制限される。
 成年被後見人の要件は、精神に障害があって、ときに正常に復することはあっても、おおむね正常な判断能力を欠く状態にあることであり、原則として鑑定が必要である。後見開始の審判は、本人、配偶者、4親等内の親族、ほかの類型の後見人・監督人、検察官、市町村長のいずれかの請求により、家庭裁判所によって行われる。
 成年被後見人には保護者として成年後見人が選任される。成年後見人には、原則的として全面的な代理権・取消権が付与され、成年被後見人の法律行為を取り消すこともできる。ただし、成年被後見人の自己決定権の尊重の観点から、日用品の購入その他日常生活に必要な範囲の行為については成年被後見人の判断に任されている。また、本人自身の意思決定に基づいて行うべき婚姻、離婚、認知、養子縁組、離縁、遺言などの身分行為は、後見開始の審判がなされていても、意思能力があれば単独でできるものとされている。
 成年被後見人の資格制限の範囲については、ノーマライゼーションの理念(高齢者や障害者を隔離するのではなく、ともに暮らす社会こそがノーマルだとする考え方)などの観点から、新法ではその範囲が縮減されたが、選挙権・被選挙権などの政治的権利、公務員、医師、公認会計士などの専門的資格、薬局・旅行業・警備業など免許・登録等を必要とする営業などの資格制限は残っている。また、取引の安全の保護の点に関しては、成年後見人への取消権・代理権の付与を伴う後見の開始決定は、登記所への登記によって公示されることとなり、戸籍への記載は廃止された。
 なお、民事訴訟法上、成年被後見人および未成年者は、原則として法定代理人によらなければ訴訟行為をすることはできない(民事訴訟法31条)。[池尻郁夫]

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