禁治産者
きんちさんしゃ
1999年(平成11)の民法改正(2000年4月1日施行)で導入された成年後見制度の前に設けられていた禁治産・準禁治産宣告制度の下で、「禁治産者」は「心神喪失の常況」(精神に障害があって、ときに正常に復することはあっても、おおむね正常な判断能力を欠く状態)にあるため、家庭裁判所から禁治産の宣告を受け、まだその宣告が取り消されていない者をさしていた。新制度導入に伴い、差別的な印象を与える「禁治産者」という表現は、すべての関係法律において「成年被後見人」という用語に改められた。また、民法条文中の「心神喪失の常況」という用語も「事理を弁識する能力を欠く常況」と改められた。
[池尻郁夫・編集部]
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禁治産者【きんちさんしゃ】
民法7条以下に定められていた制度であるが,1999年12月の改正により成年後見制度に改められ(2000年4月施行),従来の禁治産者は〈成年被後見人〉と改称された。旧法では心神喪失の常況にあるため,一定の者の請求により家庭裁判所から禁治産の宣告を受けた者を指し,心神喪失の常況とは,行為の結果を弁識するに足るだけの精神能力を欠くのを普通の状態としていることをいい,大体7歳未満の者の能力程度とされてきた。改正法では〈精神上の障害に因り事理を弁識する能力を欠く常況〉にある者と改め,禁治産の宣告を〈後見開始の審判〉とした。→後見/準禁治産者/無能力者
→関連項目公民権停止|心神喪失|精神鑑定|被選挙権|補助
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きんちさん‐しゃ【禁治産者】
〘名〙 心神喪失の常況にあるため、家庭裁判所から禁治産の宣告を受けた者をいった。平成一一年(一九九九)改正、同一二年施行の民法により、成年被後見人と改められた。
※民法(明治二九年)(1896)九条「禁治産者の行為は之を取消すことを得」
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きんちさんしゃ【禁治産者 interdit[フランス]】
取引行為のなかには,不動産や株式の売買などのようにむずかしいものから日用品の購入に至るまで,種々のものがある。ところが,なんらかの継続的な精神的欠陥のため,どんなにやさしい取引行為であっても,これを行うことが通常は困難であるというほどに重症の者,すなわち,〈心神喪失ノ常況〉にある者(民法7条)も時に見いだされる。このような者を社会生活の犠牲にすべきでないとして,フランス民法上の禁治産制度(1968年に改正されるまでの489条以下)にならって設けられたのが,この制度である。
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