戸板康二(読み)トイタヤスジ

デジタル大辞泉 「戸板康二」の意味・読み・例文・類語

といた‐やすじ【戸板康二】

[1915~1993]演劇評論家・小説家東京の生まれ。歌舞伎評論の第一人者として活躍した後、江戸川乱歩の勧めにより推理小説家となる。「団十郎切腹事件」で直木賞受賞。他に「グリーン車の子供」「車引殺人事件」、エッセー集「ちょっといい話」など。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「戸板康二」の意味・わかりやすい解説

戸板康二
といたやすじ
(1915―1993)

演劇評論家、作家。東京都生まれ。1938年(昭和13)慶応義塾大学文学部国文学科を卒業し、明治製菓勤務を経て、1944年日本演劇社に入社して『日本演劇』編集に従事、のちに編集長となり演劇評論で活躍。在学中に折口信夫(おりくちしのぶ)の日本芸能史の講義に影響を受け演劇研究と批評を志した。1948年『わが歌舞伎(かぶき)』と1949年『丸本歌舞伎』で戸川秋骨賞を受賞した。1950年日本演劇社を退社して演劇評論家となり、1952年『劇場の椅子(いす)』『今日の歌舞伎』で芸術選奨文部大臣賞を受賞。1960年推理小説『団十郎切腹事件』で直木賞を受賞し、随筆『ちょっといい話』はベストセラーとなり、1969年劇作『マリー・アントワネット』を発表した。1977年日本芸術院賞を受賞し、1991年(平成3)日本芸術院会員。著書には『新劇史の人々』『忠臣蔵』など。平成5年1月30日没。

[編集部]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「戸板康二」の意味・わかりやすい解説

戸板康二
といたやすじ

[生]1915.12.14. 東京
[没]1993.1.23. 東京
演劇評論家,小説家。 1938年慶應義塾大学国文科卒業。明治製菓宣伝部,山水高等女学校講師を経て,44年日本演劇社に入社,雑誌編集にたずさわる。歌舞伎評論『わが歌舞伎』『続わが歌舞伎』 (1948) ,『丸本歌舞伎』 (49) などで戸川秋骨賞を受賞。 50年同社を退社してフリーとなる。評論活動のかたわら,推理小説を書き『団十郎切腹事件』 (59) で直木賞受賞。また『マリー・アントワネット』ほか戯曲も書く。『演劇五十年』 (50) その他著書多数。芸術選奨文部大臣賞 (52) ,日本芸術院賞受賞 (76) 。日本芸術院会員 (91) 。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「戸板康二」の解説

戸板康二 といた-やすじ

1915-1993 昭和-平成時代の演劇評論家,小説家。
大正4年12月14日生まれ。日本演劇社につとめ,昭和24年「丸本歌舞伎」などで戸川秋骨賞。歌舞伎評論の権威であったが,33年江戸川乱歩にすすめられ「車引殺人事件」をかく。35年「団十郎切腹事件」で直木賞,51年菊池寛賞,「グリーン車子供」で日本推理作家協会賞。平成3年芸術院会員。平成5年1月23日死去。77歳。東京出身。慶大卒。著作はほかに「歌舞伎への招待」「ちょっといい話」など。

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