戻る(読み)モドル

デジタル大辞泉 「戻る」の意味・読み・例文・類語

もど・る【戻る】

[動ラ五(四)]
もとの場所に帰る。「家に―・る」「席に―・る」
進んだ方向と逆の方向へ引き返す。「来た道を―・る」
もとの状態にかえる。旧に復す。「よりが―・る」「振り出しに―・る」
本来の持ち主のもとに返る。「貸した金が―・る」「税金が―・る」
得た利益がなくなる。
夜業よなべさしよにもこの油の高さでは、儲ける程皆―・る」〈浄・女腹切
[可能]もどれる
[用法]もどる・かえる――「八時までには戻り(帰り)なさい」「昨日は家に戻ら(帰ら)なかった」など、はじめにいた所へ引き返す意では相通じて用いられる。◇「戻る」には移動の途中で出発点に引き返す意がある。「忘れ物に気づいて駅へ戻る」「山で迷ったら来た道を戻るにかぎる」◇「戻る」には、もとの状態になる意もある。「盗まれた自転車が戻った」「夫婦のよりが戻る」◇「帰る」は、出先からもとの所へ行くの意がある。「門限がうるさいからもう帰るよ」「天涯孤独で帰るべき家もない」などでは「帰る」がふさわしい。
[類語](1)(2帰る引き返す折り返す取って返すきびすを返す折り返しとんぼ返りターンユーターン回れ右/(3なおる返るよみがえる復するやり直すやり返す持ち直す立ち返る立ち直る舞い戻る回復

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「戻る」の意味・読み・例文・類語

もと・る【戻・悖】

  1. ( 「もどる」とも。「もどる(戻)」と同語源 )
  2. [ 1 ] 〘 自動詞 ラ行五(四) 〙
    1. 道理にそむく。反する。たがう。
      1. [初出の実例]「毛野の臣人と為(な)り傲(モトリ)(いすか)して治体を閑(なら)はず」(出典日本書紀(720)継体二四年一〇月(前田本訓))
      2. 「すべての道、古へに悖る事有べからず」(出典:随筆・独寝(1724頃)上)
    2. ねじれる。ゆがむ。まがる。
      1. [初出の実例]「脣醜く、鼻平み、手脚繚戻(モトリ)て、眼目角(すがめ)になるべし〈興福寺本訓釈 繚戻 上礼于反下来反 二合毛止利天〉」(出典:日本霊異記(810‐824)上)
  3. [ 2 ] 〘 他動詞 ラ行四段活用 〙 ねじる。ゆがませる。まげる。
    1. [初出の実例]「故(ことさら)に己が口を戻(モトリ)て、効(まね)び言ひて曰く〈国会図書館本訓釈 戻 モトリテ〉」(出典:日本霊異記(810‐824)中)

もど・る【戻】

  1. 〘 自動詞 ラ行五(四) 〙 ( 「もとる(戻)」と同語源 )
  2. 家に帰る。帰宅する。
    1. [初出の実例]「常陸の前司殿の姫君の初瀬の御寺に詣でてもとり給へるなり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)宿木)
  3. もとの場所・方向へ向かって逆に進む。もとへかえる。引きかえす。
    1. [初出の実例]「ぬしもなき夏野の原の放れ駒心の儘にかけつ戻りつ」(出典:為忠集(鎌倉中か))
  4. もとの状態にかえる。旧に復す。
    1. [初出の実例]「又水にもどるも早し初氷〈超雪〉」(出典:俳諧・俳諧古選(1763)付録)
  5. もうけた利益がなくなる。もうけがふいになる。
    1. [初出の実例]「夜なべさしょにも此油の高さでは儲ける程皆もどる」(出典:浄瑠璃・長町女腹切(1712頃)上)
  6. 取引関係で、下落していた相場が一時騰貴する。〔取引所用語字彙(1917)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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