直る(読み)ナオル

デジタル大辞泉 「直る」の意味・読み・例文・類語

なお・る〔なほる〕【直る】

[動ラ五(四)]
もとの良好な状態に戻る。
㋐もとのようすに復する。「機嫌が―・る」「天候が―・る」「仲たがいが―・る」
㋑もとどおり役立つようになる。修復される。「機械調子が―・る」「橋が―・って渡れる」
㋒(ふつう「治る」と書く)病気けがが回復する。治癒する。「大病が―・る」「傷口がふさがって―・る」
良好な状態に改まる。
㋐好ましいようすに整う。「ばらばらの人達が一列に―・る」「姿勢が―・る」
㋑適切なものに改められる。正される。「上がり性が―・る」「誤りが―・る」
㋒より上位位置に移る。「上座に―・る」「あとがまに―・る」「指定席に―・る」
㋓指定の場にきちんと座る。「そこに―・れ」
罪が許される。
「こと―・りて都に帰りけるに」〈月詣集・九・詞書〉
「死ぬ」ことをいう斎宮忌み詞
[類語](1㋐㋑)戻る返るよみがえる復するやり直すやり返す持ち直す立ち返る立ち直る舞い戻る/(1㋒)癒えるおさまる癒やす癒やしヒーリング

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「直る」の意味・読み・例文・類語

なお・るなほる【直・治】

  1. 〘 自動詞 ラ行五(四) 〙
  2. まっすぐになる。
    1. [初出の実例]「宮す所ゐざり出で給ふけはひすれば、やをらゐなおり給ひぬ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)柏木)
  3. 間違った、また、不十分な状態が改まる。修正される。また、添削されてよくなる。
    1. [初出の実例]「そのならひなをりがたく」(出典:紫式部日記(1010頃か)消息文)
  4. 以前の状態にもどる。
    1. (イ) 地位身分などがもとにもどる。復帰する。
      1. [初出の実例]「ながらふればなほるやうもあるを、あぢきなくおぼししみけんこそ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)宿木)
    2. (ロ) 正常なさま、望ましい状態にもどる。
      1. [初出の実例]「宅の中に周匝して障有り。屈曲ともごよひて堪(ナホルコト)難し」(出典:石山寺本法華経玄賛平安中期点(950頃)六)
      2. 「今日は日の気色もなをれり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)帚木)
    3. (ハ) くずれた気分や感情がもとにもどる。
      1. [初出の実例]「今日が日まで猶(ま)だ機嫌が復(ナホ)らんのは」(出典:くれの廿八日(1898)〈内田魯庵〉三)
    4. (ニ) 取引所で、相場が立ち直る。〔新時代用語辞典(1930)〕
    1. (イ) すわるべき場所、または地位に着座する。位置を占める。位置を移る。
      1. [初出の実例]「畜類なれども、くほうしゃの所にうまれたれば、上座になをる程に」(出典:虎明本狂言・横座(室町末‐近世初))
    2. (ロ) 特に、定められた場所にきちんとすわる。正座する。
      1. [初出の実例]「座席になをりて畏り」(出典:源平盛衰記(14C前)三四)
    3. (ハ) 主人のあとを継ぐ。また、めかけ、愛人などが本妻になる。
      1. [初出の実例]「中屋の家督に松太郎が直(ナホ)りし時」(出典:そめちがへ(1897)〈森鴎外〉)
  5. 形式が変わる。
    1. [初出の実例]「ニッポンノ コトバニ naoru(ナオル) カ」(出典:和英語林集成(初版)(1867))
  6. ( 治 ) 具合の悪い所がよくなる。病気や怪我などが治癒する。
    1. [初出の実例]「心地よくなをり給なば参り給へかし」(出典:宇津保物語(970‐999頃)蔵開上)
  7. 死ぬことをいう斎宮の忌み詞。
    1. [初出の実例]「凡忌詞。〈略〉外七言、死称奈保留」(出典:延喜式(927)五)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

今日のキーワード

ドクターイエロー

《〈和〉doctor+yellow》新幹線の区間を走行しながら線路状態などを点検する車両。監視カメラやレーザー式センサーを備え、時速250キロ以上で走行することができる。名称は、車体が黄色(イエロー)...

ドクターイエローの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android