立返る(読み)タチカエル

デジタル大辞泉 「立返る」の意味・読み・例文・類語

たち‐かえ・る〔‐かへる〕【立(ち)返る/立(ち)帰る】

[動ラ五(四)]
もと位置状態に戻る。「初心に―・って勉強する」
手紙返事などを折り返し、すぐにする。折り返す。
「行きと行きて―・らむも心ぐるし」〈蜻蛉
同じことを何度もする。繰り返す。
「―・りつつ御せうそこ申させ給ふ」〈宇津保・国譲上〉
(「年立ち返る」の形で)新年を迎える。年が改まる。
あらたまの年―・るあしたより待たるる物はうぐひすの声」〈拾遺・春〉
[類語]返るなおる戻るよみがえる復するやり直すやり返す持ち直す立ち直る舞い戻る

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「立返る」の意味・読み・例文・類語

たち‐かえ・る‥かへる【立返・立帰・立還】

  1. 〘 自動詞 ラ行四段活用 〙
  2. [ 一 ] 波などが高くなって打ち寄せてはかえる。
    1. [初出の実例]「かぜのふくことやまねばきしのなみたちかへる」(出典:土左日記(935頃)承平五年二月三日)
  3. [ 二 ] ( 「たち」は接頭語 )
    1. 繰り返す。同じことを何度もする。
      1. [初出の実例]「たちかへりつつ御せうそこ申させ給ふ」(出典:宇津保物語(970‐999頃)国譲上)
    2. 折り返す。折り返してすぐ返事をする。折り返してすぐ帰る。
      1. [初出の実例]「長ごもりし給はむもびんなし。いきといきてたちかへらむも心ぐるし」(出典:源氏物語(1001‐14頃)蜻蛉)
    3. もとの場所、行きすぎた場所などにもどる。帰る。あともどりする。引き返す。
      1. [初出の実例]「わがやどにさける藤なみ立帰りすぎがてにのみ人のみるらん〈凡河内躬恒〉」(出典:古今和歌集(905‐914)春下・一二〇)
      2. 「口惜ながら、是非なく思ひそめましたが因果、お望み次第といへば、此男立帰(カヘ)りて」(出典:浮世草子・西鶴織留(1694)五)
    4. もとの状態にもどる。昔にかえる。問題の時点にもどる。
      1. [初出の実例]「いにしへに猶立かへる心哉こひしきことにものわすれせで〈紀貫之〉」(出典:古今和歌集(905‐914)恋四・七三四)
      2. 「消えて間の有る魂は起回(タチカヘ)る可きやうもなし」(出典:浄瑠璃傾城無間鐘(1723)道行)
    5. 年が改まる。新しい年になる。
      1. [初出の実例]「たちかへり年とともにやつらかりし君が心もあらたまるらん」(出典:宇津保物語(970‐999頃)菊の宴)

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