(読み)しごき

精選版 日本国語大辞典 「扱」の意味・読み・例文・類語

しごき【扱】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「しごく(扱)」の連用形名詞化 )
  2. 手などでにぎりしめて引くこと。
  3. きびしく鍛えること。きびしい訓練。
    1. [初出の実例]「ひとりで十人もの先輩に立ち向い徹底的なしごきを受けねばなりません」(出典:新西洋事情(1975)〈深田祐介〉間接統治に栄光あれ)
  4. しごきおび(扱帯)」の略。
    1. [初出の実例]「お長はしごきのなりにて出る」(出典:洒落本・辰巳之園(1770))

あつかわあつかはし【扱】

  1. 〘 形容詞シク活用 〙 ( 動詞「あつかう(扱)」の形容詞化 ) 事の処置に苦労する。取り扱いにくい。
    1. [初出の実例]「『いとかくくち木にはなしはてずもがな』と、人知れず、あつかはしくおぼえ侍れど」(出典:源氏物語(1001‐14頃)総角)

扱の派生語

あつかわし‐げ
  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙

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普及版 字通 「扱」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 6画

(旧字)
7画

[字音] キュウ(キフ)・ソウ(サフ)・シュウ(シフ
[字訓] とる・ひく・はさむ・あつかう

[説文解字]

[字形] 形声
声符は(及)(きゅう)。また插(挿)・拾と通用し、その声がある。〔説文〕十二上に「收むるなり」とあり、手もとに引きよせる意。〔礼記、曲礼上〕に「箕を以て自ら(むか)ひて之れを(と)る」と、塵を取るときの作法をいう。衣の前裾をあげて帯にはさむことを「扱衽(そうじん)」という。「あつかふ」は国語の訓。古くは悶熱・痛・汗流などを「あつかふ」とよんだ例があり、熱さに手を焼くこと。平安期の〔源氏物語〕など以後には、面倒をみる意に用いる。

[訓義]
1. とる、ひく、おさめる、あげる。
2. はさむ、さす、つまむ。
3. あつかう、しごく。

[古辞書の訓]
名義抄 サシハサム・アクタ・ヲサム 〔字鏡集 タヲサム・ヲカス・サシハサム・アク

[熟語]
扱排・扱衽扱免扱綸
[下接語]
一扱・再扱・尸扱・始扱

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改訂新版 世界大百科事典 「扱」の意味・わかりやすい解説

扱 (しごき)

扱帯の略。しごいて締めるところから名付けられた。江戸時代,対丈(ついたけ)であった女物の小袖の丈が長くなるにつれ,腰の部分をたくしあげて歩きやすいように固定するために用いられ,抱帯(かかえおび)ともいった。明治以降,お端折(はしより)をする着方に変わると,腰紐を使うようになり,礼装用の装飾としてのみ残った。現在では,抱帯は錦地などの平絎(ひらぐけ)帯をいい,花嫁衣装の掛下着に用いられる。扱は赤,黄,緑などの綸子(りんず)やちりめんで同色の房飾がついたものをいい,花嫁衣装の振袖の帯や,七歳児の祝着の帯の下側に畳んだ扱を巻いて左後腰で結ぶ。江戸時代,その前身手拭と思われる三尺帯も,当初しごいて締めるところから扱帯と呼ばれた。長さが一回り3尺で職人などから始まったが,6尺となっても三尺帯と呼び,現在は子ども物の帯として残っている。
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百科事典マイペディア 「扱」の意味・わかりやすい解説

扱【しごき】

扱帯の略。普通の帯のように仕立てずに1枚の布地をしごいて用いる帯。着物の丈が長かった江戸時代には,外出の際着物をたくしあげるため用い,かかえ帯とも称したが,現在では装飾用となり,七五三の衣装や花嫁衣装などで締めた帯の下方につけて左側で結び下げる。縮緬(ちりめん),羽二重などで無地が多い。

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