持越す(読み)モチコス

デジタル大辞泉 「持越す」の意味・読み・例文・類語

もち‐こ・す【持(ち)越す】

[動サ五(四)]
決着処理のつかない状態で次の時期段階へ送る。「勝負を明日に―・す」
持って移す。持って次へ送る。
「新た代と泉の川に―・せる真木つまでを」〈・五〇〉
食物が消化しないで胃に残る。また、前日の酔いが次の日まで続く。
「―・してでもゐるのなら、熱燗あつかんでぐっとやるがよい」〈伎・敵討噂古市〉
[類語]延び延び延期日延べ猶予遅延延びる延引延滞遅滞遷延順延先送り先延ばし引き延ばす引き延ばし繰り延べる繰り延べ繰り下げる時を稼ぐ

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「持越す」の意味・読み・例文・類語

もち‐こ・す【持越】

  1. 〘 他動詞 サ行五(四) 〙
  2. 持って移す。持って次へ送る。
    1. [初出の実例]「新た代と 泉の河に 持越(もちこせ)る 真木の爪手を 百足らず いかだに作り」(出典万葉集(8C後)一・五〇)
  3. 物事をそのままの状態で次の時期、段階に移し送る。また、手をつけないで先に延ばす。
    1. [初出の実例]「来月が生月、初は持越(モチコス)ものじゃといへば先の月迄延びるにても有べし」(出典:浮世草子・新色五巻書(1698)三)
  4. 食物が消化しないで胃にたまる。
  5. 前夜からの酔いを翌日まで継続する。
    1. [初出の実例]「『何故今日は飲めねえのだ』『持越(モチコ)してでもゐるのなら、熱燗でぐっとやるがよい』」(出典:歌舞伎・敵討噂古市(正直清兵衛)(1857)二幕)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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