筋萎縮性側索硬化症(読み)キンイシュクセイソクサクコウカショウ

デジタル大辞泉 「筋萎縮性側索硬化症」の意味・読み・例文・類語

きんいしゅくせいそくさく‐こうかしょう〔キンヰシユクセイソクサクカウクワシヤウ〕【筋萎縮性側索硬化症】

神経線維が破壊されて筋肉が萎縮していく進行性の難病。指定難病の一つ。脊髄や脳の運動神経が変性し脱落するために起こるとされるが、詳しい原因は不明。手足やのど・舌の筋肉が次第に弱まり、手が握れない、ものが飲み込みにくい、ろれつが回らないなどの症状がみられる。進行が速く、発症から2~5年で呼吸筋が麻痺し、自律呼吸ができなくなる場合が多い。眼球を動かす筋肉や知覚・感覚などに障害が及ぶことは少ない。ALS(amyotrophic lateral sclerosis)。米国の野球選手ゲーリッグ罹患りかんしたことから、ルーゲーリッグ病ともいう。

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共同通信ニュース用語解説 「筋萎縮性側索硬化症」の解説

筋萎縮性側索硬化症(ALS)

筋肉を動かす神経が徐々に侵され、全身の筋肉が動かなくなり歩行や呼吸、食事が困難になる病気。通常、体の感覚や知能、内臓機能などは保たれるが、人工呼吸器による生命の維持が必要になることが多く、使わない場合は発症後数年で死亡することがある。進行を緩和する薬はあるが、根本的な治療法は確立されていない。厚生労働省の指定難病で、国内の患者数は少なくとも約1万人。

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内科学 第10版 「筋萎縮性側索硬化症」の解説

筋萎縮性側索硬化症(運動ニューロン疾患)

(1)筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)
定義・概念
 筋萎縮性側索硬化症は,上位運動ニューロンおよび下位運動ニューロンの両者がほぼ選択的に障害され,全身の筋萎縮,筋力低下を進行性にきたす神経変性疾患である.おもに中年以降に発症し,平均3年ほどの経過で死亡もしくは永続的な人工換気導入に至る.約90%以上が孤発性で,一部の患者は家族歴を有する.
原因・病因
 孤発性ALSについて,現在のところ確定的な病因は判明していない.想定される病因としてグルタミン酸による興奮毒性,ミトコンドリア異常,軸索輸送障害,酸化ストレス,細胞骨格異常,神経栄養因子異常などがあげられている.5~10%で家族歴があり,SOD1,FUS,TDP-43,C9ORF72,optineurin,UBQLN2などの原因遺伝子が同定されている.
疫学
 ALSの有病率は人口10万人あたり1.6~8.5人,発生率は人口10万人あたり0.6~2.6人/年と報告されており,世界各地でほぼ一定であると考えられている.ただしグアム島,日本の紀伊半島南部などに発症率の高い地域がある.男女比は約3:2で男性が多い.発症は成人の全年齢層で可能性があるが,40歳未満はまれであり60歳代から70歳代が最も多く,60歳代後半に発症のピークがある.
病理
 大脳皮質では運動野第5層のBetz細胞および大型錐体細胞の変性脱落,脳幹では眼筋支配以外の脳幹運動神経核の変性脱落,脊髄では側索と前索の錐体路に線維脱落(図15-6-33)とグリオーシス,前角の扁平化と大型前角細胞の変性・脱落を認める.残存する前角細胞に,胞体内のエオジン好性封入体であるBunina小体(図15-6-34)やskein-like inclusionなど種々の形態のユビキチン陽性封入体を認め,ALSに特徴的である.抗TDP-43抗体での免疫組織染色では,通常,核に認められる染色が認められず,細胞質の封入体が染まることが特徴(図15-6-35)である.前頭側頭葉変性症の一部でも大脳に幅広く特徴的なTDP-43陽性封入体を認め,ほかにもFUSなど,共通に関連する分子が見いだされていることから,ALSと前頭側頭葉変性症の一部は病態を共有している可能性が指摘されている.
臨床症状・所見
 進行性の上位運動ニューロン変性による症状・所見として,全身の腱反射亢進,痙縮,Babinski徴候,Chaddock反射,強制泣き・笑いなどを認める.下位運動ニューロン変性の症状・所見として,四肢・体幹の筋萎縮,筋力低下,構音障害・嚥下障害などの球症状,舌萎縮,呼吸筋力低下,全身の骨格筋の線維束性収縮(fasciculation)をきたす(図15-6-36).下位運動ニューロン症候が相対的に強い場合には痙縮は目立たず,腱反射はむしろ低下する.全身の筋萎縮の進行に伴い,体重減少が目立つ.初発症状,主症状によって球麻痺型,上肢型(普通型),下肢型(偽多発神経炎型)などに病型分類されることがある.その他呼吸筋麻痺が初発症状としてみられる例や首下がり症状で発症する例がある.高齢発症例では球麻痺型の割合が高くなる.
 眼球運動障害,感覚障害,膀胱直腸障害はALSでは通常認めないため,診断において重要である.また褥瘡は生じにくく,合わせて4大陰性症状とされることがある.しかし人工呼吸器を装着した例など長期経過例において,これらがまれならず認められることが経験されるようになった.従来,認知機能障害は認めないとされてきたが,前頭側頭葉変性症の合併が一部にあることがわかってきた.認知機能低下は筋力低下に先行する場合と,後から顕在化する場合がある.
検査成績
 針筋電図では高振幅電位(high amplitude potential),多相性電位(polyphasic potential),線維束性収縮電位(fasciculation potential),陽性鋭波(positive sharp wave)など慢性および進行性脱神経所見を認める.これらは下位運動ニューロン変性を反映し,診断において重要である.所見は萎縮筋のみならず,萎縮の明確でない筋でも認められることがある.髄液検査は多くの場合正常であるが,蛋白は上昇することがある.血清クレアチンキナーゼ(CK)は一部の例で上昇がみられる.磁気刺激装置による運動誘発電位(MEP)を用いて測定した中枢運動神経伝導時間(CMCT)の延長を認める場合がある.
診断・鑑別診断
 診断には十分な病歴聴取と診察により,上位運動ニューロン症候および下位運動ニューロン症候を認め,症状が進行性であり,他疾患の除外ができることが必要である.検査所見としては針筋電図所見が特に重要である.ALSと鑑別を要する疾患は,頸椎症,後縦靱帯骨化症,多発限局性運動性末梢神経炎(multifocal motor neuropathy:MMN),単クローン性高ガンマグロブリン血症(monoclonal gammopathy),リンパ腫など悪性腫瘍に伴う運動ニューロン障害,多発性筋炎,封入体筋炎,ヘキソサミニダーゼ欠損症,球脊髄性筋萎縮症,甲状腺機能亢進症,脳幹・脊髄などの腫瘍,脊髄空洞症,若年性一側上肢筋萎縮症(平山病),ポストポリオ症候群,糖尿病性筋萎縮症などがあげられる.
経過・予後
 症状は常に進行性であり,人工換気を行わない場合,発症から死亡までの期間は平均3~4年程度である.死因は呼吸筋力低下による換気不全や嚥下性肺炎が多い.進行速度,進展様式は患者ごとのばらつきがかなりある.人工呼吸器装着により,長期生存が可能となる場合がある.呼吸器装着後にALSの進行により,眼球運動を含め全身が動かなくなる状態(totally locked-in state)になる例もある一方で,コンピューター機器などを用いたコミュニケーションを維持し,社会とのかかわりを保ち続ける患者もいる.
治療
 治療薬としては唯一グルタミン酸拮抗薬であるリルゾールが承認されており,3カ月程度ALS患者の生存期間を延長する効果が認められている.嚥下障害による栄養障害に対しては,嚥下訓練,指導,胃瘻などによる経管栄養などの方法で積極的な対応を行う.球麻痺,上肢機能障害の進行により意思表出困難となるので,コンピューター,文字盤などを用いたコミュニケーション支援機器の導入を行う.呼吸筋麻痺症状に対して非侵襲的陽圧換気(non-invasive positive pressure ventilation:NPPV),気管切開,人工呼吸器装着の導入を考慮する.ただし,侵襲的な処置を行うにあたっては十分なインフォームドコンセントが重要であり,特に気管切開は実施の選択をしない患者も多く存在する.[祖父江 元]
■文献
Andersen PM, Abrahams S, et al: EFNS guidelines on the Clinical Management of Amyotrophic Lateral Sclerosis (MALS)-revised report of an EFNS task force. Eur J Neurol, 19: 360-375, 2012.
日本神経学会治療ガイドラインAd Hoc委員会:ALS治療ガイドライン2002.臨床神経学,42: 669-719, 2002.

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家庭医学館 「筋萎縮性側索硬化症」の解説

きんいしゅくせいそくさくこうかしょうえーえるえすあみとろ【筋萎縮性側索硬化症(ALS/アミトロ) Amyotrophic Lateral Sclerosis】

[どんな病気か]
 40~60歳代(平均50歳)での発病が多く、男性の患者さんがやや多くなっています。ほとんどは遺伝(いでん)とは関係なく発病しますが、数%は遺伝によって発病します。
 上位ニューロンと下位ニューロンの障害が組み合わさって出現するので、それに応じて症状も変化します。
 ふつう、神経の変性が頸髄(けいずい)から始まるので、一側上肢(いっそくじょうし)(片側の腕)、とくに手指の筋肉の筋力低下と萎縮が徐々に出現してくることが多いものです(上肢型)。
 やがて、もう一方の腕にも障害が現われ、両側性の障害となり、さらに上肢と同様に下肢(かし)(脚(あし))の末端の筋力低下と萎縮が進行し、足のつま先が垂れる垂(た)れ足(あし)がおこります。
 萎縮した筋肉には、筋線維束の不規則なぴくつき(線維束(せんいそく)れん縮(しゅく))がおこり、これを皮膚を透かして見ることができます。
 最終的には、眼筋(がんきん)と肛門括約筋(こうもんかつやくきん)を除く全身の筋肉に、まひと萎縮がおよぶようになります。
 病変が延髄におよぶと舌やのどの動きが悪くなり、うまく話せなくなったり(構音障害(こうおんしょうがい))、食事のときにむせたり(嚥下障害(えんげしょうがい))します。
 末期には寝たきりになりますが、感覚は保たれているので、とこずれができることはほとんどなく、膀胱直腸障害(ぼうこうちょくちょうしょうがい)(大小便の失禁(しっきん))もおこらないのが特徴です。
 多くは、発病から5年以内に呼吸器の合併症をおこし、予後は不良です。
■進行性球(しんこうせいきゅう)まひ
 筋萎縮性側索硬化症(きんいしゅくせいそくさくこうかしょう)の特殊型で、延髄(えんずい)の運動神経細胞から病変が始まり、声が鼻に抜ける鼻声(びせい)、徐々に進行する嚥下困難(えんげこんなん)(物を飲み込みにくい)、舌の萎縮と線維束(せんいそく)れん縮(しゅく)(筋肉の不規則なぴくつき)などがおもな症状です。
 会話と食事ができないために心理的な負担が大きく、栄養障害と衰弱をきたしやすいものです。
 進行も早く、発病から3年程度で肺炎などにより死亡します。
■脊髄性進行性筋萎縮症せきずいせいしんこうせいきんいしゅくしょう)
 筋萎縮性側索硬化症(きんいしゅくせいそくさくこうかしょう)の下位ニューロン症状だけを示す型で、上肢(じょうし)の末梢(まっしょう)(末端)、ときに近位(四肢(しし)のつけ根)から筋力低下と萎縮が始まり、腕、肩、さらに下肢(かし)(脚(あし))へと徐々に広がっていきます。
 筋萎縮性側索硬化症に比べて経過が長く、ときに非進行性の時期もみられます。発病から5年以上、しばしば10年以上も生命を維持できることがあります。
◎充実した生活を心がける
[治療]
 治療の担当は、神経内科です。現在のところ、まだ根本的な治療法が確立されていません。
 症状の進行度合いや正確な予後の見通しは一人ひとりで異なります。
 したがって、いたずらに悲観したりせず、充実した生活を心がけることがたいせつです。患者さんが充実した生活を送るためには、家族の保護と支援が必要です。
 この家族の協力のもとに、仕事や趣味を見いだし、可能なかぎり生活の喜びを見つけるようにしましょう。
 医師、看護師、保健師、セラピストヘルパーなどの支援ネットワークも、ぜひ利用しましょう。
◎日常生活における対策
●筋力低下
 手のまひ、歩行障害の進行を遅らせるには、運動療法を欠かすことができません。リハビリテーションの専門家の指導に従い、実行しましょう。
 その際、必要となる装具や車いすを入手するために、早めに身体障害者手帳を入手しておきましょう。
●呼吸まひ
 末期になると必ずおこってくる障害で、呼吸筋のまひと気道内分泌物(きどうないぶんぴつぶつ)の増加のために、肺活量が徐々に低下してきます。
 肺活量が50%以下の状態になると人工換気が必要になりますが、人工呼吸器はリースのものを利用でき、その費用も医療保険が適用になります。
●コミュニケーション
 病状が進行すると会話が困難になり、手やくびのまひのために身振りで意思を伝えることもできなくなります。
 しかし、まばたきや眼球(がんきゅう)を動かすことはできるので、ある程度のコミュニケーションは可能です。
 従来からある文字盤やワープロを使ってのコミュニケーションのほか、最近のコンピュータ意思伝達装置には、まばたきや眼球運動で入力できるものもあります。
●嚥下困難(えんげこんなん)
 症状の軽いときは、とろみをつけるなど、のどを通りやすい調理を工夫し、食べさせるようにします。
 障害が高度になると、誤嚥(ごえん)の危険が増すので、経鼻(けいび)チューブ栄養(鼻から挿入(そうにゅう)したチューブを介して胃に栄養を送り込む)や胃瘻造設術(いろうぞうせつじゅつ)(腹部に孔(あな)を開け、そこに挿入した管を介して胃に栄養を送り込む)などが考慮されます。

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百科事典マイペディア 「筋萎縮性側索硬化症」の意味・わかりやすい解説

筋萎縮性側索硬化症【きんいしゅくせいそくさくこうかしょう】

筋肉を動かす運動神経細胞だけが死んでいくことによって,だんだんと身体を動かせなくなり,筋肉がやせて萎縮していく病気。厚生省指定の難病。1869年にフランスの神経科医J.M.シャルコーが発見した。英語でamyotrophic lateral sclerosisということから,ALSという略称で呼ばれる。 アメリカ大リーグのルー・ゲーリック選手(1903年−1941年)がこの病気で亡くなったため,ルー・ゲーリック病ともいう。世界的な宇宙物理学者で英国ケンブリッジ大学教授のホーキング博士も患者として知られている。 発症年齢は10代〜80代にわたるが,中年以降によくみられ,男女比は2対1で男性に多い。1年間に新たに発病する患者は10万人あたり1人程度で,全国に約5000人の患者がいる。 初期症状は手や指,脚などの筋萎縮から始まり,手足がやせて全身の筋力が低下する。病気の進行とともに,顔面,のど,舌の筋力が低下して言語障害を起こす。さらに呼吸筋がおとろえて呼吸困難になると,気管切開をして人工呼吸器を装着するため,話せなくなることがほとんど。食べ物をかんだり,飲み込む力も落ちて食事ができなくなると,鼻から胃まで管を通したり,腹壁から直接胃に管を入れて栄養をとる。 運動神経のみが侵され,感覚神経や自律神経系は障害を受けない。このため知能や意識は正常に働いているが,発症後3〜4年で死にいたる例が多い。 ただし病状の進行によっては,さまざまな器具を活用して生きる道も広がっている。ホーキング博士はオックスフォード大学3年のときに発病したが,頭や目の動きで文字入力して音声化もできるパソコンを使い,数多くの論文執筆や講演を行ってきた。 はっきりした病因がわからないため,根治治療法はないが,1993年に米マサチューセッツ総合病院のブラウン博士らは,家族性ALSの一部の家系で原因遺伝子をつきとめた。活性酸素から身体を守るSOD1(Cu/Zn superoxide dismutase)という酵素をつくる遺伝子がそれで,この異常によって神経細胞が変性する可能性があるが,詳しいメカニズムはまだわかっていない。 また,興奮性アミノ酸であるグルタミン酸の作用によって運動神経細胞が変性するという説もある。このため,グルタミン酸を抑制するリルゾールが最初の治療薬として登場したが,3ヵ月ほどの延命効果があるにとどまっている。→筋萎縮症進行性筋萎縮症
→関連項目希少疾病用医薬品

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「筋萎縮性側索硬化症」の意味・わかりやすい解説

筋萎縮性側索硬化症
きんいしゅくせいそくさくこうかしょう

筋肉の随意運動に関係する神経系統が選択的に冒される原因不明の変性疾患で、特定疾患(難病)の一つに指定されている。病名の欧文表記であるAmyotrophic Lateral Sclerosisの頭文字をとってALSと略称される。1869年フランスの神経学者J・M・シャルコーらにより初めて記載された疾患。運動ニューロン疾患(MND)の代表的なもので、上位運動ニューロン(錐体路(すいたいろ)や皮質延髄路)と下位運動ニューロン(脊髄(せきずい)前角細胞や脳幹の運動神経核)がともに障害される。おもに40~60歳代に発症し、2対1の割合で男性に多く、罹患(りかん)率は人口10万につき1.4とされている。一般に地域および人種間で罹患率に著しい差はないが、日本では紀伊半島に多発する地域がある。また、この亜型とみられる疾患がグアム島のチャモロ人に高頻度にみられた。

 主要な症状は筋肉の萎縮と筋力低下で、四肢とくに片方の手の小さい筋肉に始まることが多く、しだいに全身に進行する。四肢や体部の筋肉がぴくぴく収縮(線維束性れん縮)し、患者は自分で感じたり見たりすることもあるが、多くは指摘されるまで気づかない。また、痙性麻痺(けいせいまひ)が通常下肢に現れ、歩行が困難となる。末期には舌も萎縮し、舌の線維束性れん縮が現れ、舌の筋肉が絶えずミノムシの袋のように動き、言語障害や嚥下(えんげ)障害(球麻痺症状)も現れる。ときにはこのような球麻痺症状で発症することもある。

 この病気はつねに進行性で、呼吸筋の麻痺や肺炎などで3~5年で死亡することが多いが、10年以上生存する例もある。特別な治療法はまだないが、ALSの進行を遅らせる治療薬が開発されている。

[海老原進一郎]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「筋萎縮性側索硬化症」の意味・わかりやすい解説

筋萎縮性側索硬化症
きんいしゅくせいそくさくこうかしょう
amyotrophic lateral sclerosis; ALS

進行性筋萎縮症の一型。運動神経ニューロンが上位と下位ともに広範囲にわたっておかされて変性(→細胞変性)し,その支配する筋肉萎縮を起こす病気で,原因は不明。50~60歳代の男性に多発し,指の筋肉の萎縮から始まって体幹に及ぶことが多く,末期には球麻痺を起こして発病後数年以内に死亡する。予後はきわめて悪く,治療対策も確立されていない。1869年フランスの神経学者ジャン=マルタン・シャルコーらが記載した。厚生労働省の定める指定難病の一つ。(→難病

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知恵蔵 「筋萎縮性側索硬化症」の解説

筋萎縮性側索硬化症

「ALS」のページをご覧ください。

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

世界大百科事典(旧版)内の筋萎縮性側索硬化症の言及

【運動ニューロン疾患】より

…随意運動を営む骨格筋を支配する脊髄前角および脳幹の脳神経運動核の下位運動ニューロンと大脳皮質運動野からこれらのニューロンに支配を及ぼす皮質脊髄路(錐体路)や皮質核路の起始をなす上位運動ニューロン(ベッツ巨大錐体細胞)が選択的に変性され,しだいにその数を減じていく原因不明の疾患の総称。この中には種々の異なった疾患が含まれるが,そのうち頻度の高いものは筋萎縮性側索硬化症と脊髄性進行性筋萎縮症である。
[筋萎縮性側索硬化症amyotrophic lateral sclerosis(ALS)]
 難病の一つ。…

※「筋萎縮性側索硬化症」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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