掛川市(読み)カケガワシ

デジタル大辞泉 「掛川市」の意味・読み・例文・類語

かけがわ‐し〔かけがは‐〕【掛川市】

掛川

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日本歴史地名大系 「掛川市」の解説

掛川市
かけがわし

面積:一八五・七九平方キロ

旧遠江国の東部、静岡県の中部と西部の接点に位置し、東は榛原はいばら金谷かなや町、南東は小笠おがさ菊川きくがわ町、南は同郡大東だいとう町・大須賀おおすか町、南西は袋井市、北西は周智しゆうちもり町、北は榛原郡川根かわね町に接する。当市と菊川町・大東町大須賀町および榛原郡御前崎おまえざき町・相良さがら町、小笠郡浜岡はまおか町・小笠町からなる東遠広域市町村圏の中核となっている。東に牧之原まきのはら台地、南に小笠山(二六四・四メートル)の山塊、北は赤石山脈の山系の尾根が山地をなす。この山地を刻むように八高はちこう(八三二・一メートル)を源とする原野谷はらのや川が流れ、さらにあわヶ岳(五二七・三メートル)を源とするさか川が市の南西で原野谷川に合流する。これらの河川が形成した南東に延びる小沖積地が広がり、その上に市街地がある。冬季は「遠州のカラッ風」とよばれる強い寒風(北西季節風)が吹く。

〔原始・古代〕

小円墳や横穴のまとまりは一つと数えて、市域には約五〇〇の遺跡がある。昭和六二年(一九八七)東海道新幹線掛川駅ができた頃から開発に伴う調査が急増しているが、旧石器時代の遺跡はまだ見付かっていない。市域最古の資料は原野谷川沿いで採集された縄文時代草創期の槍先形石器で、早期後半には押形文土器が出土した遺跡が数ヵ所知られる。中期になると全域で遺跡数が増え、原野谷川流域の和田岡わだおか岡津原おかつばらとよぶ河岸段丘に大きな遺跡が残されたが、集落構造がわかるような調査例はない。後・晩期にはうえだん遺跡や最近発見されたメノト遺跡のような拠点的歴代遺跡が出現するが、遺跡の数は減少したらしい。弥生時代には原野谷川と逆川の合流点に中期の原川はらかわ遺跡が営まれたが、多くの遺跡は段丘や丘陵上に立地するのが市域の特徴で、中期後半の山下やました遺跡をはじめ原新田はらしんでん・原・安養寺あんようじろくつぼひがし女高めだか大六山だいろくさん・岡津原・踊原おどりばらなど調査例は多い。古墳時代に入ると、四世紀後半に前坪まえつぼ三号墳(前方後円墳)が、五世紀には和田岡古墳群が築造された。和田岡地区では金塚かなづか瓢塚ひさごづか大塚おおつか行人塚ぎようにんづかといった前方後円墳のほか、春林院しゆんりんいん古墳とよぶ大型円墳や小型方墳も築かれた。これらの古墳造営の背景には、有勢な地方豪族の存在が推測される。六、七世紀になると、市域一帯は横穴の一大分布域となる。その数は約一千基で、県内最大である。飛鳥あすか高御所こうごしよの横穴群が古くからよく知られているが、調査された横穴群としてくす本村ほんむら・岡津・原・土橋つちはし矢崎やさき宮坂みやさか南坪みなみつぼ堀之内ほりのうちなどがある。


掛川市
かけがわし

2005年4月1日:掛川市と小笠郡大東町・大須賀町が合併
【大東町】静岡県:小笠郡
【大須賀町】静岡県:小笠郡
【掛川市】静岡県

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「掛川市」の意味・わかりやすい解説

掛川〔市〕
かけがわ

静岡県南西部,小笠山丘陵の東斜面を中心に広がる市。南部は遠州灘に面する。 1954年東山口村,曽我村の2村を編入して市制。 1955年日坂村,東山村の2村,1957年北小笠村,原谷村,原田村の3村,1960年三笠村を編入。 2005年大須賀町,大東町と合体。中心市街地の掛川は東海道の旧宿場町,太田氏5万石の城下町として発展。城跡は公園となっており,御殿 (国指定重要文化財) ,太鼓櫓,大手番所などが残るほか,1994年に天守閣が復元された。かつて葛布の集散地であった。 1975年以降,自動車部品,薬品,楽器,機械などの工業が進出。米作のほか,丘陵地ではチャ (茶) やミカン,遠州灘沿いの砂丘地帯では温室メロンやトマトの栽培を行なう。北部に松葉ノ滝と倉真 (くらみ) 温泉,北西部の森町との境付近に花菖蒲園がある。南西部の市境に小笠山 (264m) があり,5万人収容のスタジアムを擁する小笠山総合運動公園がある。戦国時代,徳川と武田の攻防戦の拠点となった横須賀城跡と高天神城跡は,ともに国の史跡。南部の海岸線一帯は御前崎遠州灘県立自然公園に属する。東海道新幹線,JR東海道本線,国道1号線,150号線が通り,天竜浜名湖鉄道の起点。東名高速道路の掛川インターチェンジがある。面積 265.69km2。人口 11万4954(2020)。

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