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政治的無関心 せいじてきむかんしんpolitical apathy

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

政治的無関心
せいじてきむかんしん
political apathy

政治的な現象に対する一般国民の関心が低いこと。一般には「政治意識が低い」という表現が用いられるが,そこで意味しているものはほぼ国民や有権者の政治的無関心さである。政治学的にとらえると,人々の政治についての関心度が低く,政治過程に参加する意欲が低いことを意味する。したがって,政治的無関心は民主主義の基礎となる市民の政治参加を低下させる原因であり,問題となる。 19世紀においては,自由民主主義理論では教育が普及し選挙権が拡大していけば,あるいは社会主義理論では階級意識が一般国民に自覚されていけば,政治的無関心は自然に消えるはずであると考えられていた。しかし現実には,20世紀に入って現代大衆社会の出現で個々の人間の匿名性が高まり,一個人の政治への影響力の相対的低下の結果,政治的無関心は逆に増加して (高学歴層においても政治的無関心は増加した) ,今日では民主主義の一つのパラドックスとなっている。 (→アパシー )  

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デジタル大辞泉の解説

せいじてき‐むかんしん〔セイヂテキムクワンシン〕【政治的無関心】

政治に対して関心がないこと。また、その状態

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百科事典マイペディアの解説

政治的無関心【せいじてきむかんしん】

政治に対して興味・関心を持たないこと。ただし,これにはいくつかの類型がある。第一に,政治についての知識や情報を持たないことからくる〈伝統的無関心〉。近代社会以前には一般的にみられたが,現代では社会参加から疎外された底辺層などの一部にみられる程度。
→関連項目福祉国家

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世界大百科事典 第2版の解説

せいじてきむかんしん【政治的無関心 political apathy】

広く政治上の問題や政治的活動一般に対する無関心な態度を指し,アパシーapathyともいう。このような態度は,行動の面では政治参加への消極性,選挙における棄権,政治的情報獲得への消極性などとして現れてくる。現代民主制が国民による選挙を前提としている以上,棄権の問題は重要であり,政治的無関心が棄権の原因として論じられることが多い。政治的無関心にはいくつかの類型がある。 まず,近代以前の伝統的社会においては,政治は少数の支配者層だけのものであり,一般民衆は政治に参加する機会がなかった。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

政治的無関心
せいじてきむかんしん
political apathy

無関心(アパシーapathy)とは、元来精神分析学の用語で、その対象に対して強い欲求をもちながら充足されないために、かえって対象に対する関心を失うことによって精神的不安定を解消しようとする心理的メカニズムの一つをさす。政治的無関心とは、現代社会において、政治に対するさまざまな要求が達成されず、政治的無力感と不信感に陥り、政治への関心を失ってしまった人々のことをさす。近代以前の社会においては、社会の成員の多くはもっぱら統治の対象としてのみ取り扱われ、政治的意思決定から排除されていた。このような生活に慣れて、政治は「お上」の仕事と考え、政治参加への意欲も関心ももたない人々の政治的無関心=indifferenceを伝統的政治的無関心とよぶ。現代社会は、このような伝統的無関心ばかりではなく、政治的無力感や不信感に起因する現代的無関心層の増大によって特色づけられる。
 現代社会においては、不況やインフレーションなど経済的危機の到来や、戦争の脅威や平和の危機が迫った場合、人々の政治的関心はにわかに高まる。しかし、平和と経済的繁栄の下では、人々の関心は多様化し、相対的に政治的関心は低下してくる。政治的知識をもちながら、ほかに関心を奪われて政治的関心を示さない無関心層が増えてくる。政治を自分が主体的に参加すべき対象とせず、自分自身を政治の圏外に置いて、単なるゲームの観客としてこれを楽しむといった態度も現代の特色の一つである。
 最近のわが国では、大都市の20代の若者において、政治的アパシーや単純な政治的無関心層が急速に増大している。これら無関心層は、選挙直前に政治指導者の腐敗が暴露されるといった事件が生じたり、選挙戦中に総理大臣が急逝するといった政治的危機に臨むと、にわかに投票に出動する。また、その選挙区が有力候補者のひしめき合う激戦区であるといった、選挙の劇的性格が強い場合にも、投票率は高まる。いわゆるイメージ選挙によって影響を受けやすいのもこの層である。これら無関心層が投票に出かけるか否かによって選挙結果が左右され、当落が逆転するというキャスティング・ボートを握っているという点で、これら無関心層の存在は現代政治における大きな不安定要因になっているといってよい。[堀江 湛]

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