(1)葉茶を挽(ひ)いて粉にしたもの。挽茶(ひきちゃ)、抹茶(まっちゃ)。
(2)煎(せん)じた、すぐの香りのよい茶。煮ばな、出ばなの茶。散らしともいう。
(3)散茶女郎(じょろう)の略。その名称は、葉茶のように袋に入れて振り出すようにしない、湯に放し入れる散茶に通じ、客を振らないことからその名ができたといわれている。また、風呂屋(ふろや)の茶汲(ちゃくみ)女が、売春をしたので吉原へ集められたため、その名でよばれるようになったという説もある。散茶女郎が吉原に現れたのは寛文(かんぶん)年間(1661~73)である。吉原には遊女に階級があり、散茶女郎は太夫(たゆう)、格子(こうし)女郎の下に位置し、梅(埋め)茶女郎、切見世女郎の上にあったが、やがて上位の太夫、格子はなくなり、散茶は呼出(よびだし)、昼三(ちゅうさん)、附廻(つけまわし)の3種に分かれた。
[芳井敬郎]
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…語源とともに使用の起源も明確でなく,元禄(1688‐1704)以前の用例が挙げられているが,一般化したのは1760年代の宝暦・明和ごろのようで,これは最高妓とされた太夫が吉原で消滅した時期と一致する。太夫の格をつぐ遊女は散茶(さんちや)であったが,散茶は呼出し,座敷持ちなどの階級に分かれていたため,散茶の上級妓を花魁と称して区別したのであろうか。洒落本《魂胆惣勘定》(1754)に〈おいらがとこ〉の里ことばが紹介されたように,そのころ流行した洒落本によって花魁という別称が普及したことは疑いない。…
※「散茶」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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