仕舞う(読み)シマウ

デジタル大辞泉 「仕舞う」の意味・読み・例文・類語

し‐ま・う〔‐まふ〕【仕舞う/終う/了う】

[動ワ五(ハ四)]《「し」は動詞「」の連用形》

㋐続いていた物事を、そこで終わりにする。終業する。「仕事を―・う」
㋑商売などをやめる。廃業する。たたむ。「営業不振で店を―・う」
終わりになる。終わる。「予定より仕事が早く―・った」「今年は花見をせずに―・った」
使用したもの、大切なものなどを元の場所や入れ物などの中に納める。かたづける。「夏物を―・う」「雛人形を―・う」「胸のうちに―・っておく」
信用取引清算取引で、建玉たてぎょく転売または買い戻すことによって取引を完了する。

㋐ないようにする。なくする。
「世の中には富(=富クジ)で身代を―・ふもあるから」〈黄・金生木〉
㋑精算する。特に、年末の決算を済ます。
留守のうちに手廻しよく、内証―・ひ置きけるとうれしく」〈浮・胸算用・五〉
㋒殺して結末をつける。
「ほかに―・うてやる思案もあり」〈浮・二十不孝・一〉
㋓遊里で、一定の時間や紋日に揚げ代を出して遊女を買い切る約束をする。
「あしたあの八右衛門めが―・って下のいけすへ手めえを連れていくさうだ」〈洒・娼妓絹籭〉
補助動詞)主に動詞の連用形に接続助詞「て」を添えた語に付く。
㋐その動作行為が完了する、すっかりその状態になる意を表す。「早く食べて―・いなさい」「所帯染みて―・う」「あきれて―・う」
㋑そのつもりでないのに、ある事態が実現する意を表す。「負けて―・った」「まずいところを見られて―・った」
[可能]しまえる
[類語]収める片付ける畳む入れる仕舞い込むぞうする収蔵する収納する格納する含む包含する・収録する収載する整頓せいとんする整理する整える始末するかたす

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「仕舞う」の意味・読み・例文・類語

し‐ま・う‥まふ【仕舞・終・了】

  1. 〘 他動詞 ワ行五(ハ四) 〙 ( 「し」は動詞「する」の連用形 )
  2. [ 一 ]
    1. し終える。しとげる。しすます。
      1. [初出の実例]「レイヲ ximǒ(シマウ)〈訳〉義務としての訪問をなしとげる」(出典日葡辞書(1603‐04))
      2. 「此内いんきょのあたま結しまひ」(出典:滑稽本・浮世床(1813‐23)初)
    2. 終わりにする。なくす。
      1. [初出の実例]「世の中には富で身代(しんだい)をしまふもあるから」(出典:黄表紙・莫切自根金生木(1785)中)
      2. 「最(も)はや見世(みせ)を仕舞(シマ)はんと思ふなり」(出典:寄笑新聞(1875)〈梅亭金鵞〉九号)
    3. 入れ納める。始末する。置くべき場所へかたづける。
      1. [初出の実例]「御意をも請ず我家来を遣はし、むたいに家内を仕舞(シマハ)せける」(出典:浮世草子武道伝来記(1687)五)
      2. 「灰まきちらすからしなの跡〈凡兆〉 春の日に仕舞てかへる経机〈正秀〉」(出典:俳諧・猿蓑(1691)五)
    4. 殺して結末をつける。かたづける。
      1. [初出の実例]「長うとって五年か三年、外(ほか)にしまふてやる思案も有」(出典:浮世草子・本朝二十不孝(1686)一)
    5. 商家などで、各節季、特に、年末などの支払、または取立を終わる。その年の総決算をする。
      1. [初出の実例]「あふ、今迄しまはぬものがあらふか、わごりょも定てしまひがならう」(出典:虎明本狂言・米市(室町末‐近世初))
    6. 遊里で、揚げ代を出して遊女を買い切る約束をする。主として江戸でいい、特に紋日などの特別の費用を客が引き受けることにいう。
      1. [初出の実例]「『節句がさ』『仕まってくれる客がねへか』」(出典:洒落本・寸南破良意(1775)伴頭株)
    7. 取引市場で転買、または買い戻すことによって取引を完了する。〔いろは引現代語大辞典(1931)〕
  3. [ 二 ] 補助動詞として用いる。
    1. ( 動詞の連用形に助詞「て」を添えた形に付いて ) その動作が完了する意を表わす。…し終わる。また、完了の意をこめて、動作を強めていう。
      1. [初出の実例]「追付勘当帳に付てしまふべし」(出典:浮世草子・好色五人女(1686)一)
      2. 「くやしくは石垣へあたまを打付(ぶっつけ)て、死(しん)ででもしまったが能(いい)」(出典:滑稽本浮世風呂(1809‐13)前)
    2. ( 「…ずに(ないで)しまう」の形で ) 実現しないままになる、行なわずに終わるの意を表わす。
      1. [初出の実例]「晩年に生れた私には、母の水々しい姿を覚えてゐる特権が遂に与へられずにしまったのである」(出典:硝子戸の中(1915)〈夏目漱石〉三七)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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