文史通義(読み)ブンシツウギ(その他表記)Wén shǐ tōng yì

関連語 反響 道光 中心

改訂新版 世界大百科事典 「文史通義」の意味・わかりやすい解説

文史通義 (ぶんしつうぎ)
Wén shǐ tōng yì

中国,清代の史学理論書。著者は〈吾は史学において,けだし天授あり〉と自認した章学誠。唐の《史通》と並び称される中国の歴史哲学,史学理論を代表する書である。内篇5巻と外篇3巻から成り,開巻冒頭に〈六経りくけい)は皆な史なり〉という,彼の名を高からしめたテーゼが載せられている。彼は,〈理〉の表現としての〈経〉と,〈事〉を記す〈史〉,つまり哲学と史学の相即合一を説き,経世としての史学を目ざした。そのために,史家見識通史の価値,地方志の理論づけなどに,幅広く独自の見解を展開している。
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百科事典マイペディア 「文史通義」の意味・わかりやすい解説

文史通義【ぶんしつうぎ】

中国,清代の史学者章学誠の史学理論書。内編5・外編3,計8巻。1832年刊。開巻第一に〈六経(りくけい)はすべて史である〉の句を載せ,史とは歴史の意のみならず,道を含んだものであるとする立場から,経書についての彼の考えを端的に述べたもの。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「文史通義」の意味・わかりやすい解説

文史通義
ぶんしつうぎ
Wen-shi tong-yi; Wên-shih t`ung-i

中国の史学理論に関する書物。『史通』とも称される。清の章学誠の著。内編5巻,外編3巻。道光 12 (1832) 年刊。史を中心に六経をみる,伝統的な経学,史学の研究方法とはまったく異なった立場の学風であったため,発表時ほとんど反響がなかったが,清末頃から注目されはじめた。

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世界大百科事典(旧版)内の文史通義の言及

【章学誠】より

…しかし乾隆43年(1778),41歳で進士に合格するまでは,各地の地方志を編纂し,独自の方志学をうちたてるかたわら,華北各地の書院の教師で暮しを立てざるをえなかった。彼の名を後世に残した《文史通義》8巻は,このような辛苦の生活の中で,36歳のときに書き始められたが,刊行されたのは,没後31年,1832年(道光12)のことである。その書の冒頭は,〈六経は皆史なり〉の有名な命題で始まっている。…

【歴史】より

…歴史をどう書くかという問題は,史評すなわち史書に対する批評の学,という新しいジャンルを生んだ。唐代の劉知幾の《史通》がその最初の専論であり,章学誠の《文史通義》はさらに一歩を進めて歴史とは何かを論じた歴史哲学の書である。《文史通義》は歴史家の主体的態度を重んじ,史実の記述が道の探究へ帰結すべきことを説いて,《春秋》以来の最もオーソドックスな立場を宣揚する。…

※「文史通義」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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