文治主義(読み)ぶんちしゅぎ(英語表記)Wen-zhi zhu-yi

山川 世界史小辞典 改訂新版 「文治主義」の解説

文治主義(ぶんちしゅぎ)

中国五経の一つである『礼記』(らいき)祭法に「文王文治をもってし,武王武功をもってす」とあるように,儀礼法制,教化などの整備充実を通じて社会秩序の安定を維持しようとする政治を行うこと。歴朝のなかで宋代は文治主義の政治が行われたとされ,太祖趙匡胤(ちょうきょういん)は次の太宗とともに,唐末五代以来各地で権力をふるっていた武人,特に節度使の権力を奪い,中央集権的な文官優位の国家体制を樹立した。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「文治主義」の意味・わかりやすい解説

文治主義
ぶんちしゅぎ
Wen-zhi zhu-yi

儒家の主張する礼楽思想に基づく政治。漢から清にいたる中国および江戸時代日本政治史において特に重んじられた統治方法で,武断主義あるいは法治主義に対する語。中国における文治主義は,実際には,科挙制度によって選抜された文人官僚による官僚的支配を意味しているにすぎず,現実には法治主義と並行しつつ,それを粉飾するような形でしか存在しえなかった。

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旺文社世界史事典 三訂版 「文治主義」の解説

文治主義
ぶんちしゅぎ

中国の為政者が武を抑え,文を重んじて国を統治する方針
唐末期〜五代の武人の割拠主義の弊害を除き,中央集権体制を整備するため,武官が占めていた官職をしだいに文官に入れかえて学問・文化を奨励武備弱化によって,後年異民族の圧迫に悩まされるようになった。宋の太祖趙匡胤 (ちようきよういん) の文治主義が有名。

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