普及版 字通 「斬(漢字)」の読み・字形・画数・意味
斬
常用漢字 11画
[字訓] きる・ころす
[説文解字]
[字形] 会意
車と斤(きん)。車を作るための材を斬ることをいう。〔説文〕十四上に「截(き)るなり」とし、また「斬は車裂に法るなり」という。斬を刑罰とすることは〔釈名、釈喪制〕に「頭を斫(き)るを斬と曰ひ、(腰)を斬るを斬と曰ふ。斬は暫なり。暫(しばら)く兵を加へち斷ずるなり」とするが、斬の初義ではあるまい。殊に車裂には別にという字があり、また斬首は古く伐といい、伐とは人頭を截る形である。〔周礼、考工記、輪人〕「三材(車の各部に用いる材)を斬る」のように、もと車の制作に関して用いる字である。
[訓義]
1. きる、木を斬る、車の材を斬る。
2. うつ、さく。
3. ころす、きりころす、斬首、腰斬。
4. たちきる、つきる。
5. 喪服。裁断して綴り合わせたのみで、ふちぬいしない衣裳。斬衰。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕斬 キル・ヲル・ケヅル・タツ・タエヌ・サク・チチボム・ヤウヤク
[声系]
〔説文〕に斬声として槧・暫・慙・漸・塹・鏨など十七字を収める。斬取し、断絶する状態をいう語が多いようである。斬新は唐以後の俗語である。
[語系]
斬tzheam、槧・鏨dzamは声義近く、鏨鑿(ざんさく)に関係のある語である。槧は板を削った牘樸(とくぼく)、書版をいう。鏨は小鑿、金を鐫(え)ることをいう。sheam、(殺)sheatはともに截(さんせつ)する意。斬は車の材を断ち斬るので、力を加えて断絶する意があり、それで〔詩、小雅、節南山〕「國に卒(ことごと)く斬(た)ゆ」のような用法がある。
[熟語]
斬焉▶・斬▶・斬刈▶・斬馘▶・斬獲▶・斬奸▶・斬姦▶・斬級▶・斬決▶・斬衰▶・斬▶・斬罪▶・斬殺▶・斬刪▶・斬▶・斬斬▶・斬死▶・斬斫▶・斬首▶・斬除▶・斬新▶・斬截▶・斬絶▶・斬蛇▶・斬撻▶・斬断▶・斬▶・斬殄▶・斬馬▶・斬伐▶・斬板▶・斬氷▶・斬捕▶・斬滅▶・斬戮▶
[下接語]
擒斬・剣斬・斬・断斬・斬・捕斬・要斬・腰斬
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報