(読み)ヘン

デジタル大辞泉 「偏」の意味・読み・例文・類語

へん【偏】[漢字項目]

常用漢字] [音]ヘン(呉)(漢) [訓]かたよる ひとえに
本筋や中心からそれている。かたよる。「偏屈偏見偏向偏差偏在偏食偏重偏頗へんぱ不偏
(「へん」と通用土地度量が狭い。「偏狭
漢字の組み立てで、左側部分。「偏旁へんぼう人偏にんべん
[名のり]つら・とも・ゆき

かた‐ほ【偏/片秀】

[形動ナリ]
完全に整っていないさま。未熟。不十分。⇔真秀まほ
「御心ばへ、人柄どもさへ、いささか―にて」〈大鏡・道長上〉
容貌ようぼうが醜いさま。不器量
「―にものし給はむ人の、居丈高に髪少なにて」〈栄花・根合〉

へん【偏】

漢字の構成部位の名称の一。左右の組み合わせからなる漢字の左側の部分。字形によって「亻(にんべん)」「氵(さんずい)」などと呼ぶ。⇔つくり
かたよっていること。公正でないこと。
用捨―無し、弛張ちちゃう時あり、明王の士を撰ぶ徳なり」〈太平記・一九〉

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精選版 日本国語大辞典 「偏」の意味・読み・例文・類語

へん【偏】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( 形動 ) かたよっていること。中正でないこと。また、そのさま。
    1. [初出の実例]「雑行の行人の心ざまに似たり。いづれも偏也」(出典:貞享版沙石集(1283)八)
    2. 「用捨偏(ヘン)無し、弛張時有り、明王の士を撰ぶ徳也」(出典:太平記(14C後)一九)
    3. [その他の文献]〔書経‐洪範〕
  3. 漢字の字体構成上の名称の一つ。左右組み合わせて成った漢字の左の部分。意味上の目印となる形が多く、それぞれ「にんべん」「きへん」「うおへん」などの名がある。右にあって「とりへん」という類もある。
    1. [初出の実例]「篇に、氵、かくかけるを、さむずい」(出典:名語記(1275)九)
    2. [その他の文献]〔蘇軾‐石鼓詩〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「偏」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 11画

(旧字)
11画

[字音] ヘン
[字訓] かたよる・ひとつ・ひとえに

[説文解字]

[字形] 形声
声符は(へん)。は片折り戸。に片よる、片方の意がある。〔説文〕八上に「頗(かたよ)るなり」、〔広雅、釈詁四〕に「方(かたよ)るなり。(なな)めなり」とみえる。〔左伝、閔二年〕「身の(かたへ)に衣(き)せしむ」とあるのが本義。ものの一半をといい、〔子、礼論〕に「三のうち(ひとつ)無ければ安人無し」のように用いる。〔左伝、宣十二年〕「卒はの兩なり」とは、軍の車乗の編成で一偏十五乗、二班のうちの一班をいう。

[訓義]
1. かたよる、ななめ。
2. かたはし、かたかた、そろわぬ。
3. ひとり、すくない、かたいなか。
4. くみ、たぐい、ともがら。
5. ひとえに、ひたすら。
6. と通じ、あまねし。

[古辞書の訓]
名義抄 ヒトヘニ・カタハラ・カタツカタ・カタオモテ・アマネシ・アマネク・サカル・マツ・ハムベリ・マガル・タグヒ・トモガラ・カキアグ・ヒトツ・タスク・ヒトリ・カタブク・イヤシ・ムサボル

[語系]
phyen、頗phuai、跛puaiは声義近く、みなかたぶく、偏頗の意において通じる。phianは同声。bianは声近く、軽く動く意がある。

[熟語]
偏阿・偏愛・偏安・偏衣・偏依偏倚・偏異・偏遠・偏恩偏駕・偏介・偏格偏慳・偏観・偏奇偏棄・偏・偏宜・偏急・偏挙・偏狭・偏境偏徼・偏曲・偏隅・偏屈・偏見・偏言・偏枯・偏固・偏孤・偏伍・偏護・偏向・偏好・偏幸・偏行・偏国・偏在・偏死・偏私・偏指・偏師・偏視・偏恃・偏識・偏室・偏舟・偏執・偏諸・偏将・偏心・偏人・偏帥・偏制・偏性・偏棲・偏裼・偏説・偏絶・偏喪・偏憎・偏側・偏袒・偏短・偏智・偏重・偏・偏定・偏土・偏宕・偏党・偏特・偏・偏佞・偏頗・偏跛・偏背・偏廃・偏駮・偏駁・偏陂・偏裨・偏風・偏・偏・偏房・偏傍・偏鋒偏旁・偏盲・偏門・偏訳・偏・偏累・偏露・偏陋
[下接語]
一偏・奇偏・周偏・性偏・側偏・地偏・土偏・頗偏・不偏・無偏・幽偏

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