根本寺(読み)こんぽんじ

精選版 日本国語大辞典 「根本寺」の意味・読み・例文・類語

こんぽん‐じ【根本寺】

新潟県佐渡市新穂大野にある日蓮宗の寺。山号塚原山。天文二一年(一五五二日成創建したとも、天正一五年(一五八七)日典が寺基を整えたともされる。はじめは正教寺と称した。日蓮が「開目鈔」を撰した塚原三昧堂の跡と伝えられる。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「根本寺」の意味・読み・例文・類語

こんぽん‐じ【根本寺】

新潟県佐渡市にある日蓮宗の寺。山号は塚原山。天文21年(1552)、日蓮が「開目鈔」を著した三昧堂の旧跡に日成が開創

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本歴史地名大系 「根本寺」の解説

根本寺
こんぽんじ

[現在地名]鹿島町宮中

鹿島台地が大船津おおふなつへ下る丘陵下に位置する。瑞甕山と号し、臨済宗妙心寺派。本尊は薬師如来。寺伝によれば、推古天皇の勅命により、聖徳太子が創建といい、開山は高麗僧恵灌。初めは三論宗であったが、のち天台宗に転じた。鎌倉時代には幕府の庇護があつく文永・弘安の蒙古襲来の際に「天下平均、異国帰状」の勅印を受け、追討祈祷を行った。

根本寺
こんぽんじ

[現在地名]新穂村大野

新穂町より畑野はたの(現畑野町)へ至る道から清水寺せいすいじ越の道が分岐する付近にある。日蓮宗、塚原山と号する。日蓮が佐渡配流の時の居所の一つと伝え、日蓮宗の数少ない霊跡本山の一つ。「佐渡国寺社境内案内帳」にも、「身延山久遠寺・池上本門寺・中山法華経寺三ケ寺の輪番所」と記す。初め正教せいきよう寺が建立されたが、京都妙覚みようかく寺の日典が遺跡調査に渡島の結果、天正一五年(一五八七)に根本寺とした。

本堂は慶長二年(一五九七)大泉坊により、祖師堂は同一二年に備前国祐白により建立。鐘堂は元和七年(一六二一)味方但馬守により献納

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「根本寺」の意味・わかりやすい解説

根本寺
こんぽんじ

新潟県佐渡(さど)市新穂(にいぼ)大野にある日蓮(にちれん)宗四十四箇(しじゅうしか)寺院の一つ。山号は塚原(つかはら)山。1271年(文永8)日蓮は佐渡に配流となり、同年11月に雪中を塚原の三昧堂(さんまいどう)に入った。以後、翌年4月までこの三昧堂で阿仏房(あぶつぼう)夫妻の援助を得て飢餓と戦いつつ、法華経(ほけきょう)行者の自覚を深め、諸宗を論破し(塚原問答)、『開目抄(かいもくしょう)』を著した。1552年(天文21)大泉坊日成(にっせい)が、その配所塚原に根本寺を開創、のち江戸初期には正教寺ともよばれた(『佐渡志』)が、塚原の場所については異説がある。寺域一帯はうっそうたる老樹に囲まれ、山門の左かたわらに三昧堂址(し)が標示されている。

[里道徳雄]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「根本寺」の意味・わかりやすい解説

根本寺 (こんぽんじ)

新潟県佐渡市の旧新穂村にあり,塚原山と号する。日蓮が佐渡流刑のおりはじめに在住した塚原の旧跡に創建した寺と伝える。この塚原の場を現在地のほか,仙道・目黒町(ともに同市の旧畑野町)とする説もある。16世紀半ば,京都妙覚寺系の日成が日蓮流刑の旧跡の興隆を願って祖師(日蓮)堂を開創し,1590年(天正18)ころ妙覚寺日典が寺の基礎を確立したという。そのころは正教寺と称し,妙覚寺管理下にあったが,根本寺の号のあらわれる17世紀初頭に,妙覚寺から独立する動きがおこり,両寺の間に本末論争が生じたが,1671年(寛文11)にいたり,本寺の一つとして認められ,かつ身延久遠寺,池上本門寺,中山法華経寺の三寺三年輪番による支配が行われることになった。1744年(延享1)には末寺11ヵ寺とある。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の根本寺の言及

【佐渡島】より

…以来,承久の乱の順徳上皇をはじめ,日蓮,京極為兼,日野資朝,世阿弥など多くの人々が流されて,島の生活・文化にさまざまな影響を及ぼした。国中平野南縁に佐渡国分寺跡(史),国府跡があり,これらに隣接して順徳上皇火葬塚(真野御陵),上皇をまつる真野宮,黒木御所跡,日蓮配流の遺跡である根本寺(塚原三昧堂,新穂(にいぼ)村)や,世阿弥の配流の地とされる正法寺(金井町)などがあって佐渡史跡観光の中核をなしている。西三川(現,真野町)の砂金,鶴子(つるし)(現,佐和田町),新穂の銀山時代を経て,17世紀初めころには相川で金銀が採掘されるようになった(佐渡金山)。…

※「根本寺」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

潮力発電

潮の干満の差の大きい所で、満潮時に蓄えた海水を干潮時に放流し、水力発電と同じ原理でタービンを回す発電方式。潮汐ちょうせき発電。...

潮力発電の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android