中国伝統医学では乾燥などの簡単な処理をしただけの天然薬物(生薬(しようやく))を用いている。生薬は複雑な成分を含んでいるため,配合のしかたによって効力を増したり,なくしたりするし,効果を発揮させたり飲みやすくしたりするために,粉末化したり煎出したりすることも必要である。この点は古くから注目され,中国の臨床医学書は病因とか治療理論には少ししか触れずに,大部分を好結果をあげた処方(配合と加工を含む)例にあてるという処方集の形をとっていることが多い。方剤とは処方に従って調製された薬剤であり,処方集は方書ともいわれている。薬剤は散,丸,湯(とう),膏(こう)などの形で投与されている。現在は湯(煎じ薬)が多いが,後漢の初期ごろまでは散(粉末剤)と丸が多く用いられた。丸ははちみつを加えて作ることが多く,古い時代には丸と散は酒で服用した。膏は生薬末と油脂類の混合物や煎出エキスなどであるが,外用だけでなく,内服用のものもあった。一般に散剤は湯剤より効果の出現が遅く,丸剤はさらに遅効性であるとされている。薬剤によってはふりだし薬(短時間湯にひたす)にするものもある。
薬剤の配合については,後漢の初期ごろには似た薬効のものを集めるという単純な考えに従っている。その後,他の薬との配合の可否についての知識が蓄積されて《雷公薬対》などの書が著された。六朝時代の君臣佐使説はこの考えの応用と考えられ,主薬の作用を強めたりするために補助薬を配合すべきであるとしている。本草書に書いてある寒熱,甘鹹などの気味は,古代にどの程度考慮されたかは明らかでないが,金・元時代には経絡(けいらく)との関係や五行説とともに重視され,処方はこれらの性質に従って構成すべきであるとされた。しかし繰り返して多数の処方集が著され,それらの書の葛根湯とか安中散といった固有名のついた処方が利用されていることからも,これらの理論は基本的な処方に手を加えるときには用いられたであろうが,完全に理論的に構成された処方があったかどうかは疑問である。
執筆者:赤堀 昭
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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