日の出日の入り(読み)ひのでひのいり(その他表記)sunrise and sunset

改訂新版 世界大百科事典 「日の出日の入り」の意味・わかりやすい解説

日の出・日の入り (ひのでひのいり)
sunrise and sunset

太陽の上縁が水平線に現れる瞬時日の出といい,隠れる瞬時を日の入りという。天体位置表では,太陽が16′の視半径をもつこと,水平線にあるとき大気屈折をうけて約34′浮き上がって見えること,海洋活動における船橋の高さなどを考慮して,太陽の地心高度が-54.2′に達する瞬時を表掲している。より高いところでの日の出は早く,日の入りは遅くなる。日の出・日の入りの方位緯度と季節の関数である。一般に,春分秋分の日に真東から出て真西に沈み,この間は夏季は北寄り,冬季は南寄りとなる。夏至冬至)にはもっとも北(南)に寄るが,この日,北緯65°39′(67°27′)の等緯圏では太陽は水平線に接するだけで沈む(昇る)ことがない。これより北の地域では夏季(冬季)に太陽の沈まない(昇らない)日が続く。南極圏についてはこの逆になる。地平線に対する太陽の昇る(沈む)傾斜角も緯度と季節によって決まり,赤道上ではつねに垂直,高緯度にいくほど小さくなって,ついに夏至,冬至の日にそれぞれ上記の緯線上では水平になる。なお,水平線上の太陽は,大気屈折のために上下に1/5程度ひしゃげた楕円形となる。また,日の出(日の入り)の瞬時には屈折率の大きい青い光が上周辺部に現れることがある。これをグリーンフラッシュgreen flash(緑閃光)と呼んでいる。
薄明
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「日の出日の入り」の意味・わかりやすい解説

日の出・日の入り
ひのでひのいり

明け方、太陽の上縁が地平線に接して見える瞬間時刻を日の出と定義する。地球を取り巻く大気密度のため、太陽の光は地球大気を通過するときには曲げられて人目に達する。太陽中心と観測者を結ぶ方向が、実際太陽が見える方向との違い(大気差)は、光が真上からくる場合は0度であるが、太陽が地平線に見えるときの値は34分角で、太陽が地平線下34分角に達したとき人目には地平線上にあるように見える。また太陽の視半径は16分角あり、地平線下50分角に達したとき、太陽の上縁が地平線に接したように見える。この時刻を日の出の時刻とする。したがって、昼の長さは春分・秋分の日でも夜の長さより長くなる。北半球では日の出時刻は夏至の頃にもっとも早く、冬至の頃に遅くなる。南半球は逆である。夕方、太陽の上縁が地平線にちょうど隠れた瞬間を日の入り(日没)と定義するが、この場合も大気差、太陽の視半径が日の出のときと同様にあり、太陽は地平線下50分角に達している。

[渡辺敏夫]

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百科事典マイペディア 「日の出日の入り」の意味・わかりやすい解説

日の出・日の入り【ひので・ひのいり】

理論上では太陽の高度が0(太陽中心が地平線に一致する)となった時をいうが,実際上は見かけの太陽の上縁が地平線に接する瞬間をいう。大気の屈折で起こる大気差のため,見かけの太陽は水平の位置で真の高度より平均34′浮き上がり,太陽の視半径16′と合わせて理論上の日の出・日の入りより角度で約50′の差を生じ,このため東京あたりの緯度(北緯35°)で実際の日の出は理論より約3分早く,日の入りも約3分おそい。
→関連項目

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