日什(読み)にちじゅう

精選版 日本国語大辞典 「日什」の意味・読み・例文・類語

にちじゅう ニチジフ【日什】

鎌倉末・南北朝時代日蓮宗の僧。顕本法華宗の祖。通称は玄妙阿闍梨。会津の人。比叡山慈遍僧正に学んで学頭となり、のち郷里の東光寺教化に努めたが、日蓮著作に接して回心した。正和三~明徳三年(一三一四‐九二

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デジタル大辞泉 「日什」の意味・読み・例文・類語

にちじゅう〔ニチジフ〕【日什】

[1314~1392]南北朝時代の日蓮宗の僧。会津の人。妙満寺派(今の顕本法華宗)の祖。通称、玄妙阿闍梨あじゃり。比叡山で学び天台僧となる。66歳のとき日蓮の著書を読み、日蓮宗に帰した。京都に妙満寺建立。著「治国策」など。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「日什」の意味・わかりやすい解説

日什
にちじゅう
(1314―1392)

鎌倉後期、南北朝時代の日蓮(にちれん)宗の僧。会津(福島県)黒川の石塚氏の出。1332年(元弘2)19歳で叡山(えいざん)に登り慈遍(じへん)に師事、玄妙と名のり天台僧となる。66歳のとき日蓮の『開目抄(かいもくしょう)』『如説修行抄(にょせつしゅぎょうしょう)』を読み感動、天台僧6人を同行して日蓮宗に改宗した。曽祖父(そうそふ)日高(にちこう)(1257―1314。中山法華経(ほけきょう)寺第3代)の陰の志を嗣(つ)ぎ京都に布教、京都の有力な町衆帰依(きえ)を得て妙満寺を建てた。これが後の妙満寺派または顕本法華(けんぽんほっけ)宗の基である。日蓮への帰伏(きぶく)は下総(しもうさ)(千葉県)真間(まま)の弘法(ぐほう)寺(帰入状が同寺にある)であったので、以後千葉氏をはじめ下総で教線は目覚ましく伸びた。念願の足利義満(あしかがよしみつ)への庭中訴願(ていちゅうそがん)を果たし、内容は通じたが、以後の訴願は禁ぜられ断念した。明徳(めいとく)3年2月、79歳で会津で没。

[相葉 伸 2017年9月19日]

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改訂新版 世界大百科事典 「日什」の意味・わかりやすい解説

日什 (にちじゅう)
生没年:1314-92(正和3-元中9・明徳3)

南北朝時代の日蓮宗の僧。顕本法華宗の開祖。奥州会津石堂氏の出身。はじめ玄妙と号し,天台僧であったが,日蓮の遺文を閲覧して改宗。名を日什と改めて,下総真間弘法(ぐほう)寺に帰入し,さらに同中山法華経寺にも関係したが,のち同寺を離れて一派を立てた。京都に上り,関白二条師嗣,将軍足利義満ら公家や武家に日蓮の教えを提示してこれに帰すことを諫奏した。遠江(とおとうみ)府中に玄妙寺,京都に妙満寺,会津に妙法寺を建立して,一派の拠点とした。日什はそれまでの日蓮以降の門下の継承を否定して,みずから日蓮に直結する立場をうち出し,諸宗は人々が地獄に堕ちる根源で,法華宗のみが成仏できるとした。この系統を日什門流,妙満寺派といい,1898年顕本法華宗と公称している。
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朝日日本歴史人物事典 「日什」の解説

日什

没年:明徳3/元中9.2.28(1392.3.22)
生年:正和3(1314)
南北朝時代の日蓮宗の僧。顕本法華宗の開祖。会津(福島県)黒川の出身。はじめ天台僧であったが,日蓮の『開目抄』を読んで改宗し,中山門流下総(千葉県)真間弘法寺に入門した。日蓮の百年忌に当たる永徳1(1381)年,公武社会に弘通(仏法を広める)すべく上洛。同3年,中山門流の日尊と対立するにおよび,日蓮から直接教えを受ける「直授日蓮」の意識と,『法華経』を継承するという経巻相承の立場から分立する。康応1(1389)年に京都妙満寺を創立してから以後,同寺が布教の根拠地となる。その系統を日什門流,妙満寺派ともいい,顕本法華宗と公称する。晩年会津に隠棲。<参考文献>立正大学日蓮教学研究所編『日蓮教団全史』上

(佐々木馨)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「日什」の意味・わかりやすい解説

日什
にちじゅう

[生]正和3(1314). 会津
[没]元中9=明徳3(1392). 会津
南北朝時代日蓮宗の僧。比叡山で勉学したが,故郷に戻り,日蓮の『開目鈔』を読んで日蓮の教学に転じた。元中6=康応1(1389)年に京都室町に妙満寺を創設し,これを自派の根拠地とした。日蓮宗の顕本法華宗の創始者といわれる。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「日什」の解説

日什 にちじゅう

1314-1392 南北朝時代の僧。
正和(しょうわ)3年4月28日生まれ。顕本法華(けんぽんほっけ)宗の開祖。天台宗の僧であったが,老年になって日蓮の著書をよんで改宗,名を玄妙から日什とあらためる。のち下総(しもうさ)中山(千葉県)の法華経寺と対立して独立,康応元年京都に妙満寺をひらいた。明徳3=元中9年2月28日死去。79歳。陸奥(むつ)会津(あいづ)(福島県)出身。通称は玄妙阿闍梨(あじゃり)。

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367日誕生日大事典 「日什」の解説

日什 (にちじゅう)

生年月日:1314年4月28日
南北朝時代の日蓮宗の僧
1392年没

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