昭和四三年(一九六八)京都市中京区
〈京都・山城寺院神社大事典〉
永徳三年(一三八三)五月、日什が六条
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
京都市左京区岩倉にある顕本法華宗総本山。妙塔山と号する。宗祖日蓮の宗旨を公武に奏聞するため下総から上洛した日什(にちじゆう)(顕本法華宗の開祖)が,天王寺屋通妙ら町衆信者の援助のもと,1389年(元中6・康応1)室町六条坊門に開創。そののち〈諸宗は堕獄の根源,法華宗ばかり成仏なるべし〉を標榜して折伏(しやくぶく)の布教を伝統とした日什門流の拠点となり,京都二十一ヵ本山(近世には十六ヵ本山)の一つとして栄えた。上総七里法華の基を築いた日泰,慶長法難で不受不施(ふじゆふせ)を主張して徳川家康に弾圧された日経は,当寺の僧である。寺地は中世には下京地域を転々とし,1583年(天正11)豊臣秀吉の命により寺町二条に移り,廃仏毀釈で寺勢を減じたが,明治期には塔頭(たつちゆう)4院,末寺550ヵ寺があった。1965年現地に移建。寺宝では,安珍・清姫で有名な紀伊道成寺の鐘が近世から伝蔵されて有名。松永貞徳が造営したという洛中三名園の一つ,塔頭成就院の〈雪の庭〉は古形のまま現地に移されている。
執筆者:藤井 学
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
京都市左京区にある顕本法華(けんぽんほっけ)宗の総本山。妙塔(みょうとう)山と号する。本尊は釈迦(しゃか)多宝仏。1383年(永徳3)日什(にちじゅう)が富商天王寺屋通妙の外護(げご)を得て邸内に法華堂を草創した。日什は関白藤原良基(よしもと)らの好意もあって、洛中弘法(らくちゅうぐほう)の綸旨(りんじ)を受け、1389年(元中6・康応1)現在の寺号に改め寺勢を伸ばした。1532年(天文1)後奈良(ごなら)天皇の勅願所となるが、天文法華の乱(1536)で焼かれ、1583年(天正11)豊臣(とよとみ)秀吉により寺町二条に移転再建された。1595年(文禄4)方広寺大仏開眼(かいげん)供養への出仕を拒んだ不受不施(ふじゅふせ)派は弾圧を受け、同派祖日奥(にちおう)に私淑していた当寺の27世日経(にっきょう)も耳・鼻そぎの刑に処せられた。18世紀には92世日受が宗学を大成。1968年(昭和43)に現在地へ移転された。鎌倉時代の法華(ほけ)経要文和歌懐紙(国重要文化財)を所蔵している。紀州(和歌山県)道成(どうじょう)寺正平(しょうへい)14年(1359)銘の梵鐘(ぼんしょう)を有する。
[田村晃祐]
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