日本歴史地名大系 「早水台遺跡」の解説
早水台遺跡
そうずだいいせき
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
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大分県速見郡日出(ひじ)町川崎字小深江にある旧石器時代から縄文時代早期の遺跡。南に別府湾を望む標高約35mの海岸段丘上にある。1953年に発掘が行われて,早期の押型文土器を主体とする遺跡であることが確認され,砲弾形の尖底土器で全面に小型の山形,楕円,格子目の押型文を施す土器を早水台式と型式設定した。共伴して狭長な石鏃,尖頭状礫器が出土した。さらに64年に発掘が行われ,押型文土器を包含する層(黒色土層)の下位に文化層が2枚検出された。第3層の暗褐色ローム層よりナイフ形石器,石核などが出土し,さらに5・6層の黄褐色粘土層,安山岩角礫層より石英脈岩製の祖型握槌,チョッパー,チョッピングトゥール,石核などが出土し,製作技法などから3万年以上前の前期旧石器時代の石器群と推定され注目を浴びた。
執筆者:木村 幾多郎
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大分県速見(はやみ)郡日出(ひじ)町西小深江(にしこぶかえ)にある旧石器時代、縄文早期の重要遺跡。発掘は1953年(昭和28)6月、11月の一次、二次に続き64年の三次調査が行われた。上層の黒褐色土層には縄文早期押型文(おしがたもん)土器を主体とする土器、石器を伴う住居跡がみつかっており、広大な縄文早期遺跡として注目される。下層は二期に分類され、上部は後期旧石器、下部は角礫(かくれき)層を主体とする前期旧石器の確認が得られた。この角礫層出土の石器群は、おもに石英脈岩を材料にしたもので、中国原人の石器材料に共通したものが多い。石器を出土する文化層の年代や石器の形態など、一部には批判の声もあるが、中国や朝鮮半島に類似の石器が出土し始め、前期旧石器の有力遺跡として評価は高い。
[賀川光夫]
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大分県日出(ひじ)町にある旧石器・縄文早期の遺跡。別府湾を望む海岸段丘上にある。九州の縄文早期の早水台式土器の標式遺跡。押型文土器編年の基礎資料となった。下層からナイフ形石器などの後期旧石器の遺物のほか,石英脈岩や石英粗面岩製の握槌や石核とされるものが出土し,前期旧石器研究の端緒となった。
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
… 3万年以上前の日本に旧人もしくは原人の文化が残されているかどうかについては,いくつかの遺跡が知られている。まず1964年には大分県早水台(そうずだい)遺跡の基盤直上から石英脈岩製のチョッパーやチョッピングトゥールが発掘され,65年から78年にかけて調査された栃木県星野遺跡では,武蔵野および下末吉ロームに相当する地層中からチョッパー,スクレーパー,尖頭器,彫刻刀などを含む大量のチャート製石器が出土した。早水台遺跡は約10万年前,星野遺跡は3万2000年から約8万年前までさかのぼると推定された。…
※「早水台遺跡」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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