日本主義(読み)にほんしゅぎ

精選版 日本国語大辞典 「日本主義」の意味・読み・例文・類語

にほん‐しゅぎ【日本主義】

〘名〙 日清戦争一八九四‐九五)後、井上哲次郎高山樗牛らが唱え主義運動。日本伝統思想と欧州近代哲学思想を折衷し、君民一体・忠君愛国キリスト教排撃などを主旨とした。代表論文は明治三〇年(一八九七)六月に高山が「太陽誌上に発表した「日本主義を賛す」。同年大日本協会設立により機関紙「日本主義」も発刊された。

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デジタル大辞泉 「日本主義」の意味・読み・例文・類語

にほん‐しゅぎ【日本主義】

明治中期、政府欧化政策に対する反動として起こった国家主義思想。高山樗牛たかやまちょぎゅう井上哲次郎らが雑誌「日本主義」を刊行、日本古来の伝統的精神を重視しようとしたもの。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「日本主義」の意味・わかりやすい解説

日本主義
にほんしゅぎ

明治から第2次世界大戦敗戦までにおける欧化主義,民主主義,社会主義などに反対し,日本古来の伝統や,国粋を擁護しようとした思想や運動をいう。一定の思想体系をなしていたとはいえず,論者により内容が相違する。明治の支配層が押し進めた欧化主義への反発として,三宅雪嶺高山樗牛らによって唱えられ,政治的には欧米協調主義への反対,国権や対外的強硬策の強調となって現れた。大正や昭和になって日本の資本主義の高度化が,階級対立を激化させ,社会主義やマルクス主義が流入すると,これら諸思想の対抗イデオロギーとして機能し,天皇を中心とする皇道や国体思想を強調した。 (→神国思想 )

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「日本主義」の解説

日本主義
にほんしゅぎ

日清戦争後から明治30年代中頃までの間に流行した思想運動。その呼称は,1897年(明治30)高山樗牛(ちょぎゅう)・井上哲次郎・木村鷹太郎らの創設した大日本協会の機関誌「日本主義」と,樗牛が同年6月「太陽」に発表した論文「日本主義を賛す」に由来。海外進出を唱え,その指導理念として建国の精神を主張した。国家至上の見地から世界主義に反対し,宗教を批判しとくにキリスト教を攻撃した。

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旺文社日本史事典 三訂版 「日本主義」の解説

日本主義
にほんしゅぎ

明治中期,日清戦争後に井上哲次郎・高山樗牛 (ちよぎゆう) らが中心となって唱道した主義
この思想は,海外進出を唱え,君民一体・国祖崇拝など伝統を重視する国家主義で,1897年設立の大日本協会の機関誌『日本主義』と雑誌『太陽』に発表された。

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改訂新版 世界大百科事典 「日本主義」の意味・わかりやすい解説

日本主義 (にほんしゅぎ)

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世界大百科事典(旧版)内の日本主義の言及

【国粋主義】より

…敗戦までの近代日本において欧化ないし欧化主義に対立して,国粋つまり日本国民固有の長所を維持・発揚するよう主張した思潮。日本主義ともいう。時期により変遷はあるが,血統的に一系の天皇をいただく日本の国家体制の〈優秀性と永久性〉を強調する国体論が,核心をなした点では変りがないといってよい。…

※「日本主義」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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