日本列島改造論(読み)ニホンレットウカイゾウロン

デジタル大辞泉 「日本列島改造論」の意味・読み・例文・類語

にほんれっとうかいぞう‐ろん〔ニホンレツタウカイザウ‐〕【日本列島改造論】

昭和47(1972)の自由民主党総裁選挙田中角栄が提唱した政策構想。また、その内容を記した著書。過密都市から地方への工業分散、新地方都市の建設高速道路新幹線などの高速交通網整備を柱とした。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「日本列島改造論」の意味・わかりやすい解説

日本列島改造論
にほんれっとうかいぞうろん

1972年田中内閣によって打出された構想。日本の産業構造と地域構造を積極的に改革して,過密と過疎の弊害を同時に解消し,産業と文化と自然とが融和した地域社会を全国土に広めることを目的とした。その骨子は,(1) 太平洋ベルト地帯に集中しすぎた工業の地方分散,(2) 都市改造と新地方都市の整備,(3) これらを結ぶ全国的な総合ネットワークの整備の3点である。当時は一方では雄大な構想として評価されたが,他方で公害を全国に拡散するものであるなどという激しい批判も浴びた。地価対策を講じる前に列島改造論を打出したことは土地の投機招き,おりからの過剰流動性と相まって狂乱的な地価の暴騰を引起すことになった。

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世界大百科事典(旧版)内の日本列島改造論の言及

【高度経済成長】より

…佐藤内閣は円の変動相場制への移行を決定しこれに対応したが,高度成長を支える最大の基盤がなくなったのである。72年7月,佐藤内閣にかわって田中角栄内閣が成立したが,田中首相はこうした国際条件の変化にもかかわらず,〈日本列島改造論〉をかかげて,いぜんとして大型公共投資を中心とする経済成長政策を追い求めようとした。この結果土地投機ブームが起こり,それとともに物価上昇のテンポが速まったが,そこを73年10月,第4次中東戦争にさいしてのアラブ産油国の石油戦略によるオイル・ショック(石油危機)が直撃した。…

【国土総合開発】より

…国や地方自治体が,その時代に直面する課題を解決し,国民生活の向上と安定に寄与するために,地域の資源や土地,労働力を有効に活用して地域の生産力や所得・雇用を増大させる政策をとることを地域開発と呼ぶ。それゆえ,地域開発は経済政策の一分野ということができる。この地域開発を全国的な規模で推進することによって,国土をより有効に利用し,国民経済の発展や地域格差の是正,未利用資源の活用,国土の保全などを総合的に図るのが国土総合開発である。…

【不動産業】より

…一方,1968年の三井不動産による日本初の超高層ビル〈霞が関ビル〉の完成を皮切りに,大手民間不動産会社による超高層ビルの建設が始まり,大手は従来のビル賃貸業から都市再開発を推進するデベロッパーへの転身が進んでいった。 しかし昭和40年代後半になると,1971年のドル・ショックとこれに続く金融緩和,〈日本列島改造論〉によって刺激された土地ブームのもとで,大小を問わず不動産業者は土地買いに殺到し,土地価格は暴騰してインフレ状態がもたらされた。こうした状況のもとで昭和40年代末から金融引締政策とともに,各種の土地開発規制策がとられるようになり,不動産業をめぐる環境は激変してきた。…

※「日本列島改造論」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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