日本歴史地名大系 「日置川」の解説
日置川
ひきがわ
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
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和歌山県南西部、西牟婁郡(にしむろぐん)にあった旧町名(日置川町(ちょう))。現在は白浜町(しらはまちょう)の東半分を占める地域。旧日置川町は、1956年(昭和31)日置町と川添(かわぞえ)、三舞(みまい)の2村が合併して成立。2006年(平成18)白浜町に合併。日置川中・下流を占め、旧町名はこれによるが、日置の意は不詳。枯木灘(かれきなだ)に臨む河口の日置港は、中世安宅(あたぎ)水軍の根拠地、現在は流域一帯の木材の集散地で、備長炭(びんちょうたん)の産地。また沖合漁業も行う地方港湾。下流部にウメやミカン、中流部に茶の栽培地が広がり、日置川はアユの釣り場として知られ川釣りの宿も多く、キャンプ場も設置されている。吉野熊野国立公園に含まれる海岸は海釣りの適地。JR紀勢本線(きのくに線)、国道42号が通じる。
[小池洋一]
『『日置町誌』(1956・日置町)』▽『『日置川町史』全4巻(1996~2005・日置川町)』
紀伊半島南部を流れる川。俗に〈日置三郎〉といわれる。奈良・和歌山県境の果無(はてなし)山脈南斜面に源を発し,和歌山県田辺市の旧大塔(おおとう)村から白浜町の旧日置川町を南西に流れ,太平洋に注ぐ。全長79km,流域面積約400km2。激しく穿入(せんにゆう)蛇行し,河谷にも河口付近にも平地は乏しく,洪水も少なくなかった。明治中期までは平田舟が中流まで遡上し,下流からは米や日用品を,上流からは炭,薪などを運んだ。また伐採した木材をいかだを組まずに流していたが,中流部で支流の前ノ川や将軍川が合流するところに1957年発電用の殿山ダムが建設されたため,廃止された。上流の百間山(999m)南麓は深い原生林に覆われ,滝や淵や甌穴(おうけつ)などの渓谷をなし,川遊びや,アユ,アマゴなどの釣り場にもなっている。
執筆者:重見 之雄
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