日本大百科全書(ニッポニカ) 「キアロスクーロ」の意味・わかりやすい解説
キアロスクーロ
きあろすくーろ
chiaroscuro
イタリア語の「明るいchiaro」と「暗いoscuro」の2語を合成した絵画用語。17世紀の美術史家バルディヌッチ(1624―96)が、明暗の効果を単色だけで表現した絵画を意味することばとして用いた。したがって本来は、油絵の制作過程における彩色前の明暗の調子だけで描かれた絵、あるいは単色で仕上げた明暗表現による淡彩素描をさす用語であった。しかし、やがて絵画の重要な構成要素である「明暗法」そのものを意味するようになった。キアロスクーロの淡彩素描を模倣複製する木版画の技法が、16世紀初頭のイタリアで創案され広く流布したが、このような木版画の技法あるいは作品をキアロスクーロ版画とよんでいる。
[長谷川三郎]
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