古代の給与制度の一つ。令本来の規定では,皇親で13歳以上のものに支給された。春・秋2度にわたって支給され,絁(あしぎぬ)2疋,糸2絇(く),布4端,鍬10口(秋には糸にかわって綿=真綿2屯,鍬にかわって鉄4廷)がその支給品目である。皇親すなわち親王・内親王および4世以上の王に対しては無位無官であっても給与を与えることとなり,一般貴族・官人に対して皇親を優遇するものであった。787年(延暦6)には六位の諸王が六位の官に任命された場合は季禄を,七位の官に任命された場合時服料によって支給すべきこととし,801年には官職についている皇親で上日(じようにち)が不足して季禄を支給されないものにかぎって時服料を支給した。さらに870年(貞観12)に支給する王の数を429人に制限した。この時服料はまた王禄とも呼ばれる。このほか,官人にも時服を支給される場合があったが,808年(大同3)以後からは官人全体に支給されることになった。支給規定はともに《延喜式》にみえる。
→封戸
執筆者:鬼頭 清明
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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