なんらかの理由で,国の予算がその会計年度が始まるまでに成立をみなかったような場合に,財政法30条に基づき,本予算が成立するまでの一時的な期間,必要最小限の経費を賄えるようにするための暫定的な予算のことである。たとえば,予算を審議すべき時期に衆議院が解散されている場合や前年度内に予算が国会に提出されていない場合,あるいは国会の審議が大幅に遅れたような場合などにおいて,これをそのままにしておけば,予算の空白時期が生じて,国家財政の運営に重大な支障を生じることとなる。暫定予算は,この期間を埋めるいわばつなぎの予算であり,その性格上,国債の利子や職員の給与等の義務的な最小限度の経費に限られ,本来の予算に影響を及ぼすような重大かつ新規の経費の計上は極力避けられるのが通例である。また,当該年度の本予算が成立すれば,その時点で暫定予算は失効し,それまでに行われた支出あるいは債務の負担もすべて本予算に吸収され,本予算に基づいて行ったものとみなされることとなる。なお,暫定予算も予算であることになんら変りはないため,予算に準じて作成し,国会の議決を要する。したがって,衆議院が解散されている場合には,参議院の緊急集会に暫定予算を提出して議決を得てこれを執行するが,この場合,解散総選挙後の特別国会において,あらためて衆議院の同意を求めなければならない。
→予算
執筆者:竹内 克伸
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
ある年度の予算が、会計年度開始までに成立しない場合には、原則的には予算の成立するまでは政府はいかなる支出もすることを許されない。しかし政府の活動が停止することはきわめて不都合であり、必要最小限の支出については本予算が成立しない場合にも認めるべきである。このような場合に、会計年度の開始から本予算の成立するまでの期間にわたって、必要最小限の政府支出を許容する予算が暫定予算である(財政法30条)。暫定予算も予算であることには変わりはないから、予算に準じて作成し、国会の議決を要する。ただ暫定予算は、のちに当該年度の本予算が成立すれば効力を失う「つなぎ」の予算であり、本予算成立の暁には、それまでに行われた支出や債務の負担はすべて本予算に吸収され、本予算に基づいて行われたものとみなされる。暫定予算の内容については別に法律上の制限はないが、その性質上、国家諸機関の基準的経費だけに限られ、新規事項は取り上げられないのが通例である。
[林 正寿]
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
(神野直彦 東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授 / 2007年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
出典 ASCII.jpデジタル用語辞典ASCII.jpデジタル用語辞典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
各省の長である大臣,および内閣官房長官,特命大臣を助け,特定の政策や企画に参画し,政務を処理する国家公務員法上の特別職。政務官ともいう。2001年1月の中央省庁再編により政務次官が廃止されたのに伴い,...
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加
9/20 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新