泉州堺の人で,豊臣秀吉の御伽衆(おとぎしゆう)だったといわれるが不明。生没年不詳。本姓は杉本または坂田氏,甚右衛門,彦右衛門と名のり,刀の鞘師を業とし,鞘に刀がソロリと入ることから〈曾呂利〉と呼ばれたという。茶人であり,頓智頓才をもって秀吉の寵遇を得たことが《岩淵夜話》《半日閑話》《曾呂利物語》《曾呂利狂歌咄》《曾呂利怪談咄》などにより伝承されている。《堺市史》に屋敷跡があるといい,1591年(天正19)に没したとか1603年(慶長8)没とかいわれるが伝記不詳。《昨日は今日の物語》に曾呂利の名が記されているが新左衛門かどうかはわからない。《曾呂利狂歌咄》には,曾呂利の経歴を略述し,秀吉秘蔵の枯松を祝い直す歌,ほうびに耳をかがせてもらう話,黒胡麻のあんを乗せた餅を黒駒になぞらえた歌などが記されているが,これは浅井了意作の《狂歌咄》を京都の菊屋喜兵衛という本屋が1672年(寛文12)に出版するにあたって特に付加したもののようである。この《曾呂利狂歌咄》は,落語の元祖といわれる安楽庵策伝の作であるということが《遊芸起原》《帝国文庫・落語全集》解題などに記され,さらに曾呂利新左衛門は実は安楽庵策伝のことであるという伝承もある。《曾呂利狂歌咄》の中には策伝の《醒睡笑》と重複する話が30もある。いずれにしても曾呂利新左衛門は史上では名高く,大阪の落語家で2代目曾呂利新左衛門(1843-1923)を名のったものがいる。
執筆者:関山 和夫
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(二木謙一)
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…道具の共有(帛紗(ふくさ),地敷(じしき),棚,札),様式の等同(十種香と十種茶)はいうに及ばず,茶人にとって香は茶の一部であった。紹鷗,宗易(千利休),津田宗及,山上宗二は武辺隆生(建部隆勝)に香を学び,宗易は宗二に〈香ノ事ハ坂内宗拾(曾呂利新左衛門)ニ問ベシ〉と語ったという記述が《山上宗二記》にみられる。そのほか《南方録》にも茶の記述のみならず,香木・香炉など香に関しての詳細な記載がある。…
※「曾呂利新左衛門」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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