朝永三十郎(読み)トモナガサンジュウロウ

デジタル大辞泉 「朝永三十郎」の意味・読み・例文・類語

ともなが‐さんじゅうろう〔‐サンジフラウ〕【朝永三十郎】

[1871~1951]哲学者長崎の生まれ。京大教授。日本での西洋近世哲学史研究先駆者。著「近世における『我』の自覚史」「カントの平和論」など。

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精選版 日本国語大辞典 「朝永三十郎」の意味・読み・例文・類語

ともなが‐さんじゅうろう【朝永三十郎】

哲学者。長崎県出身。京都帝国大学教授。西洋近世哲学史を研究、哲学思想の啓蒙につとめた。著「近世に於ける『我』の自覚史」「デカルト」など。明治四~昭和二六年(一八七一‐一九五一

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「朝永三十郎」の意味・わかりやすい解説

朝永三十郎
ともながさんじゅうろう
(1871―1951)

哲学史家。長崎に生まれる。1898年(明治31)東京帝国大学文科大学を卒業。真宗大学教授を経て、1907年(明治40)京都帝国大学文科大学助教授に就任し、1909年ドイツのハイデルベルク大学ウィンデルバントに師事し、西洋近世哲学史を研究。翌1910年帰国し、哲学・哲学史第四(西洋哲学史)講座の教授となる。1931年(昭和6)定年退職。同大学名誉教授、大谷(おおたに)大学教授を歴任。1948年(昭和23)学士院会員になる。一貫して哲学史的関心を保持し、西洋近世哲学史の先駆的研究に貢献した。その立場はカントの理想主義であり、ルネサンスから新カント派に至る理性による「我」の自覚過程を明らかにした『近世に於(お)ける「我」の自覚史――新理想主義と其(その)背景』(1916)は多くの読者を得、改訂版も出版された。『デカルト』(1925)と『デカルト省察録』(1936)は本格的な研究書として評価されている。そのほかカントの「永遠平和のために」を哲学史の立場から究明した『カントの平和論』(1922)、『哲学史的小品――ルソー・カント・ロッツェ』(1948)、『ルネッサンス及び先カントの哲学――西洋近世哲学史第一冊』(1949)がある。昭和26年9月18日死去。ノーベル物理学賞受賞の理論物理学者朝永振一郎長男である。

原島 正 2016年9月16日]

『朝永先生の思い出編纂会編・刊『朝永三十郎先生の思い出』(1957)』『野田又夫著『哲学の三つの伝統』(1984・紀伊國屋書店/岩波文庫)』

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百科事典マイペディア 「朝永三十郎」の意味・わかりやすい解説

朝永三十郎【ともながさんじゅうろう】

哲学者。長崎県の人。一高時代の師内村鑑三影響で哲学に進む。東大卒業後1907年京大助教授。1909年―1913年ヨーロッパに留学,ウィンデルバントに学ぶ。1913年京大教授。近世哲学史を専攻。著書《近世における我の自覚史》《ルネッサンスおよび先カントの哲学》など。
→関連項目朝永振一郎

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「朝永三十郎」の意味・わかりやすい解説

朝永三十郎
ともながさんじゅうろう

[生]明治4(1871).佐賀
[没]1951
哲学史家。 1898年東京大学哲学科を卒業後,1907年京都大学助教授。 09年ドイツに留学,13年帰国し教授となり 31年定年まで哲学史を講じた。ウィンデルバントらの影響のもとに近代哲学史を自我の自覚的発現という観点から論じた『近世に於ける「我」の自覚史』 (1916) は古典的な名著である。なお物理学者朝永振一郎は子息である。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「朝永三十郎」の解説

朝永三十郎 ともなが-さんじゅうろう

1871-1951 明治-昭和時代の哲学者。
明治4年2月5日生まれ。朝永振一郎の父。明治42年ヨーロッパに留学,ドイツのウィンデルバントにまなぶ。大正2年京都帝大教授となり,のち大谷大教授。西洋近世哲学史研究の草分けで,主著に「近世に於ける「我」の自覚史」。昭和26年9月18日死去。80歳。肥前彼杵(そのぎ)郡(長崎県)出身。東京帝大卒。

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世界大百科事典(旧版)内の朝永三十郎の言及

【朝永振一郎】より

…東京の生れ。父は哲学者朝永三十郎。1929年京都大学理学部を卒業,31年仁科芳雄の京大出張講義聴講のおり認められ,翌年理化学研究所に新設早々の仁科研究室に入った。…

※「朝永三十郎」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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