木材乾留や製炭の際に発生するガスを冷却すると液状物が生ずる。これを放置すると2層に分かれるが,上層が木酢液,下層が木タールである。木酢液は大部分が水で,酢酸,メチルアルコールを中心とする50~100種の化学物質を含む。酢酸とメチルアルコールは木材に存在したものではなく,前者は木材のヘミセルロースが,後者はリグニンが,それぞれ一部分解して生じたものである。これらは以前,単離され純粋な化学薬品として使われたこともあるが,今は合成品にとって代わられた。木酢液は組成分に分けられず,そのまま各種の目的に使われている。例えば樹木の種子をまく前の土壌消毒剤に使うと雑草の発生が抑えられ,堆肥に添加すると防虫,殺虫作用のため,発酵を促進する。また脱臭剤,媒染剤,とくにハムなどの食品加工時の処理剤としても使われる。
執筆者:善本 知孝+杉浦 銀治
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木材を乾留すると得られる黒褐色,刺激臭のある液体.酢酸,メタノールをはじめ,低級の各種脂肪酸類,アルコール類,エステル類,アルデヒド類,ケトン類などを含有する.木材乾留工業によりメタノール,酢酸などの製造が行われたことがあったが,現在ではこれらの物質の工業的製造は,すべて合成法にかわっている.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
…またコークス製造装置をコークス炉と呼ぶ。
[木材の乾留]
木材を乾留すると,ガス,木酢液,および木炭が得られる。木材の乾留は現在もいわゆる炭焼きとして小規模に行われているが,昔は工業的に大規模に行われた。…
※「木酢液」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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