資本制的生産を特徴づけるものは、労働力が商品化していることである。すなわち、資本制的生産が行われるためには、一方で貨幣および生産手段の所有者と、他方で人格的に自由で自由に労働力を販売でき、また生産手段から引き離されているために労働力以外には売るべき何物をももたないという二重の意味で自由な労働者とが存在していることが、前提条件となっている。資本制的生産は、蓄積と再生産過程のなかで、この前提条件を維持・再生産するとともに、ますます増大する規模で再生産していくのであるが、こうした労働者と労働実現条件の所有との分離は、自然発生的に与えられたものではなく、資本制的生産に先行する歴史的発展の結果として生み出されたものである。このような、生産手段を資本に転化するとともに、生産手段に結び付けられた直接的生産者を生産手段から引き離して賃労働者に転化し、資本制的生産の前提条件を創出する歴史的過程を、本源的蓄積または原始的蓄積という。
資本制的生産は封建制の解体のうえに発展していくが、封建制下の土地保有農民をその生産手段たる土地から切り離し、賃労働者を創出することが、本源的蓄積の全過程の基礎をなしている。この農民からの土地収奪の過程は国によってそれぞれ異なり、それが各国の資本主義の型を形成するが、典型的形態をとるのはイギリスのみである。イギリスにおいては、とくに16世紀と18世紀に二次にわたって土地囲い込み(エンクロージャー)運動が大規模かつ暴力的に推し進められた。こうして暴力的に農村を追放された大量の農民は、無産者に転化し、国家の浮浪者取締法や救貧法によって賃労働者への転化を強制された。本源的蓄積のためには、他方において資本として投下されるべき貨幣財産の蓄積が必要であるが、これも国家の助成によって行われた。イギリスの重商主義的政策がそれである。
[二瓶 敏]
『K・マルクス著『資本論』第1巻第7篇第24章(向坂逸郎訳・岩波文庫/岡崎次郎訳・大月書店・国民文庫)』
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…本源的蓄積ともいう。ひとたび資本主義的生産が確立した後の資本蓄積は,一般に,剰余価値が資本に転化されて資本規模が拡大することだけでなく,同時に,社会的に賃金労働者が拡大再生産されること,つまり,あらかじめ前提とした資本と賃労働の階級的関係自身が商品経済的法則にしたがって年々拡大再生産されることを意味している。…
…現代では,経済取引は単に国内にとどまらず国境を越えて行われており,国際取引はいかなる経済にとっても不可欠なものである。国際経済学は,このように国際取引すべてを対象とし,国境を越えた取引がなぜ行われ,どのように取引され,またそれぞれの国および個人がどのような影響を受けるかを分析する経済学の一分野である。 国際経済学が国内取引を扱う経済学とどのように異なるかは必ずしも明確でない。たとえば,その差異が生産要素移動の可能性に求められ,労働・資本などの生産要素は国内において自由に移動できるが国際間における移動は費用がかかり不可能であるとみなされる。…
…この時期のヨーロッパ経済においては,工業活動は比較的未発達で,おおむね商業資本に従属していたので,この端緒期の資本主義は商業資本主義とも呼ばれる。この時期に膨張を開始したヨーロッパ経済は,次の四つの源泉から富を獲得し,のちの産業資本主義への移行の原動力とした(この移行過程が,いわゆる〈本源的蓄積(原始的蓄積)〉である)。(1)ヨーロッパ商人が世界の海上ルートの支配者となり,伝統的なアジア域内貿易のかなりの部分を奪取したこと。…
※「本源的蓄積」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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各省の長である大臣,および内閣官房長官,特命大臣を助け,特定の政策や企画に参画し,政務を処理する国家公務員法上の特別職。政務官ともいう。2001年1月の中央省庁再編により政務次官が廃止されたのに伴い,...
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